特別市構想 県が「分断」指摘のパンフレット作成 山中市長「法制化は必要」と反論 横浜市青葉区

県が作成したパンフレット

横浜市などの政令市が実現を目指す「特別市(特別自治市)」の構想に関し、神奈川県が否定的な見解を示すパンフレットを作成した。

特別市は、市が県の区域外となり、原則として県の仕事を担い、権限や財源を市に一本化する制度。実現には法制化が必要で、横浜市は川崎市、相模原市など、他の政令市とともに実現を目指している。

県が4月末に作成したパンフレットの表紙には「えっ!独立?」と大きく書かれ、中には「特別自治市構想とは政令指定都市から県が独立し、県を分断するもの」と明記。行政と住民の距離が遠くなることやコロナなどの危機事象への対応、警察事務への影響、県の財源不足による行政サービスへの影響などを説明し、特別市の法制化を「妥当ではありません」としている。パンフレットは県のサイト(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/gz8/tokubetsujitishi/top.html)から見られる。

黒岩祐治知事は5月13日の会見で特別市構想について言及。「住民の機運が高まっているようには感じられない」と県の立場を主張した。

これに対し、横浜市の山中竹春市長は14日の会見で「県のパンフレットを見たが特に感想はない」と語った。その上で「必要なのは、法制化して市民の選択肢を広げること。法制化し、(特別市への移行を問う)住民投票で是非について活発に議論されれば良い」とした。山中市長は各区に出向いて特別市の説明を続けており、「話をすると、かなりの割合で反応がある。特別市の需要は潜在的に大きいと考えている」と述べ、黒岩知事の見解に反論した。

会見で特別市について語る山中市長(5月14日)

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