2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

17日、湖南博物院が公開した「辛追夫人」の3Dデジタルヒューマンイメージ。左が35歳ごろ、右が50歳ごろ。(長沙=新華社配信)

 【新華社長沙5月17日】中国湖南省長沙市の湖南博物院は17日、2千年以上前の女性「辛追(しんつい)夫人」の3Dデジタルヒューマンを初めて公開した。主に1970年代、同市にある前漢時代の墓葬群「馬王堆(ばおうたい)漢墓」から出土した辛追夫人の遺体頭部のⅩ線写真に基づき、その容貌を最大限復元している。

 同博物院の段暁明(だん・ぎょうめい)院長によると、今回公開された「辛追夫人」の3Dデジタルヒューマンは、35歳ごろの全身座像と50歳ごろの頭部の2種類となる。

 同博物院が招いた顔の復元に関する専門家チームは、Ⅹ線写真や実物の観察、模型の測定を通じて精密な計算を繰り返して辛追夫人の頭蓋骨の構造や形状、目鼻立ちの比例関係を導き出し、先進技術と組み合わせることで生前の容貌を再現した彫像を作り上げた。

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

17日、湖南博物院が公開した「辛追夫人」の50歳ごろの3Dデジタルヒューマンイメージ。(長沙=新華社配信)

 この彫像を地元企業の長沙数字鯨魚科技がデジタル化した。同社の責任者である張日暉(ちょう・じつき)氏は、ハイパーリアルなデジタルヒューマン技術を活用し、高精度の人体モデリングを通じて微細な生物学的特徴を再現、毛穴まで鮮明に見分けられると説明した。

 「辛追夫人」のインタラクティブな活用を可能とする「エージェント」(外界で自律的に判断、行動するプログラムとしての人工知能)は、今年後半にリリースが予定されている。馬王堆漢墓から出土した文化財や歴史的記録、考古学研究の成果などを集めて情報化処理とビッグデータの分析と処理を行い、最終的に現代人と対話できるエージェントを生成する計画で、実現すると2千年前に保存された「湿屍(しっし、ミイラの一種)」を基に作られた世界初の仮想デジタルヒューマンが誕生することになる。

 馬王堆漢墓は1972~74年の発掘調査から今年で50年を迎えた。前漢初期の諸侯国、長沙国で丞相(じょうしょう)を務め、軑侯(たいこう)に封じられた利蒼(り・そう)一家3人の墓で、貴重な文化財が3千点以上出土した。20世紀の世界的に重要な考古学発見であり、中でも1号墓出土の利蒼の妻「辛追夫人」の遺体は、世界で保存期間の最も長い湿屍とされる。(記者/張玉潔、袁汝婷)

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

17日、湖南博物院が公開した「辛追夫人」の35歳ごろの3Dデジタルヒューマンイメージ。(長沙=新華社配信)

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

17日、湖南博物院が公開した「辛追夫人」の3Dデジタルヒューマン(35歳ごろ)のイメージポスター。(長沙=新華社配信)

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

専門家が完成させた生前の「辛追夫人」の彫像。(1月4日撮影、長沙=新華社配信/袁中標)

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

専門家が完成させた生前の「辛追夫人」の彫像。(1月4日撮影、長沙=新華社配信/袁中標)

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

15日、「辛追夫人」の3Dデジタルヒューマンを修正する技術者を指導する専門家(手前)。(長沙=新華社記者/張玉潔)

2千年以上前の「辛追夫人」をデジタル復元 中国・湖南博物院が初公開

15日、「辛追夫人」の3Dデジタルヒューマンを修正する技術者を指導する専門家(左)。(長沙=新華社記者/張玉潔)

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