中嶋一貴が2024年ル・マン24時間レースのグランドマーシャルに任命される

 5月17日、フランス西部自動車クラブ(ACO)は、6月にWEC世界耐久選手権の2024年第4戦として行われる第92回ル・マン24時間レースで表彰される、ふたりの著名人の名前を発表した。日本の中嶋一貴がグランドマーシャルに任命されている。

 現在、TGR-E(トヨタGAZOO Racing・ヨーロッパ)副会長を務める一貴は、6月15日16時(日本時間23時)にスタートが切られる24時間レースのフォーメーションラップにおいて、参戦する62台の車両を先導することになる。2023年、100周年記念大会のル・マンでのこの役目は、最多勝を誇るトム・クリステンセンが務めていた。

 1985年、中嶋悟氏の長男として生まれた一貴は、1996年にカートでのキャリアを開始。数年後にはトヨタの若手ドライバー育成プログラム入りすると、欧州へ渡り、シングルシーターの世界でF1世界選手権にまで上り詰めた。

 その後、2012年にはトヨタからWECへの参戦を開始した。ル・マン24時間レースには10度出走しており、2014年には日本人初のポールポジションを獲得。2016年にはフィニッシュ目前のトラブルにより勝利を失うものの、2018、2019、2020年に3連勝を果たしている。

 2021年シーズン限りでトップカテゴリーから退いた一貴はTGR-E会長として若手ドライバー育成等にも積極的に関与するかたわら、スーパー耐久富士24時間レースにドライバーとして参戦するなど、オフトラック・オントラックの双方で幅広い活動を続けている。

 また、ACOは『スピリット・オブ・ル・マン』トロフィーの受賞者として、デボラ・メイヤーの名を発表した。

 このトロフィーは耐久レースの価値観、すなわち関与、献身、チームワーク、スポオーツへの取り組みを体現した人物を讃えるもの。日本人では過去に通算29回のル・マン出場を誇る寺田陽次郎氏をはじめ、ニッサンのグループCエンジンを開発した後、東海大学を率いてル・マンに挑んだ林義正氏、元TMG代表を務めた木下美明氏、そして2023年にはトヨタ自動車会長の豊田章男氏が受賞している。

 メイヤーは女性ドライバーによるモータースポーツ界での活動を支援するプロジェクトである『アイアン・デイムス』の設立者である。アイアン・デイムスは今季もLMGT3カテゴリーでWECに参戦している。

 メイヤーの受賞についてACOは「2022年から2023年までFIAモータースポーツ女性委員会の委員長として、彼女は意識を高めるだけでなく職業を刺激し、ジェンダー平等を大きく前進させる新たな勢いを促進する世界的な取り組みの先頭に立った」としている。

 ACO会長のピエール・フィヨンは「ル・マン24時間レースとモータースポーツに多大な貢献をしてくれたふたりに、心から感謝の意を表したい」と述べた。

「ふたりはともに、不屈の努力、達成、そして耐久レースへの情熱を象徴している。中嶋一貴は、ル・マン24時間レースで3連勝を達成した稀有なドライバーのひとりとして際立っている。一方、デボラ・メイヤーは、アイアン・デイムスとともにユニークなプロジェクトの最前線に立ち、パドック全体にインスピレーションを与え、目覚ましい成功を収め、2023年最終戦のバーレーン8時間レースではサラ・ボビー/ラヘル・フレイ/ミシェル・ガッティンという3人(の女性ドライバー)とともにWEC(クラス)優勝という最高潮に達した」

2024年のル・マン24時間でグランドマーシャルを務める中嶋一貴と、スピリット・オブ・ル・マンを受賞するデボラ・メイヤー

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