NGだったグラビア挑戦が転機に…小池栄子の元担当マネと二人三脚の20歳女優、体当たり演技は「ここが勝負」

インタビューに応じた豊島心桜【写真:北野翔也】

『君が獣になる前に』出演の豊島心桜 男性に乱暴されるシーンも

グラビアタレントとして週刊プレイボーイ(集英社)の表紙も飾った豊島心桜(とよしま・こころ=20)が、テレビ東京系『君が獣になる前に』(金曜深夜0時12分)の“体当たり演技”で注目されている。同作は毒ガステロ事件をめぐるサスペンス。豊島は第5話(5月4日)では、男性に乱暴されるシーンを演じた。今後の理想像はグラビア出身の名優・小池栄子。小池を担当していた現マネジャーの“成功体験“も力にしていく。(取材・文=柳田通斉)

「大丈夫なんで、もっと力を入れてお願いします」

男性に乱暴されるシーンの撮影で、豊島は相手俳優にそう伝えていた。

「私も本気で抵抗するところを見せたかったんです。最初、ご配慮で少し優しめにされたのですが、『それではリアリティーに欠けてしまうかも』と思いました。作品の原作、脚本からも『ここが勝負』と感じていたので」

史上最悪の毒ガステロ事件を巡る同作では、後に事件を起こす人気俳優・希堂琴音(玉城ティナ)に憧れる後輩俳優・千田ミヤコを演じている。第2話から登場。第3話では死体で山中から発見されるが、その後、警察署で身の危険を泣きながら訴える回想シーンもあった。

「監督から『これじゃあ、物語が進まない。動揺している感じが伝わらない』と言われ、私は次に髪をボサボサにして目も泳がせながら、泣きのお芝居をしました。台本に入り込み、『殺されるかもしれない』という感情を高めました。終わった後、監督に褒められた時は素直にうれしかったです」

芸能活動は高校入学と同時に始めた。中3の夏、新潟県内の自宅でスカウトされたことがきっかけだった。その1年前、豊島は「ミスセブンティーン2016」のオーディションを受けていた。芸能界に興味はなかったが、母親の知人に強く勧められて参加。本人の予想に反してファイナリスト16人に残り、同誌に写真が掲載された。その可憐な姿に反応したのが、現事務所のスタッフ。豊島に関する情報は「新潟県」のみだったが、誌面を手に地道な聞き込みを続け、対面に至った。

豊島は高校受験を控えた身だったが、「東京でJK(女子高生)をするのも楽しいかも」のノリで上京。演技レッスンを受けることには消極的だった。

「もともとは恥ずかしがり屋で親に『バレエの発表会に来ないで』と言ってしまう子どもでした。なので、ウソをついてレッスンをサボった日もありました。ただ、先輩方の真剣な取り組みを見たり、先生に『負の感情はうまく出せるタイプ』と言っていただけたりして、自分の姿勢も変わっていきました」

もっとも、簡単には役を獲得できない日々。豊島は20年4月からフジテレビ系『めざましテレビ』の情報コーナー「イマドキ」のリポーターを務めることになり、活路を見い出した。複数のCMに起用され、ドラマの仕事も単発で入るようになったが、1つNGの仕事があった。グラビアだ。

「スカウトされた段階からお話はあったのですが、グラビアをネガティブにとらえていたので怖くて手を出せなかったんです。偏見もありました。自分の(胸が大きい)体形も嫌でした」

プライベートについても明かした豊島心桜【写真:北野翔也】

プレイボーイの表紙で決まったドラマ出演「やって良かった」

ただ、豊島は身長167センチでスタイル抜群。週刊プレイボーイの編集者はオファーを繰り返していたという。そして、豊島自身にも20歳を迎える前に心境の変化があった。

「地元の友達が大学3年になって就活を考える時期で、『自分はこのままだとよくない』という思いが出てきました。その状況であらためてオファーをいただき、『1回、グラビアをフラットに見てみよう』と思いました」

早速、プレイボーイのグラビア特集号をコンビニで購入。ページを開くと、被写体の女性たちを「かわいい。いやらしくない」と思えたという。そして、撮影所に向かう決意を固めた。

「カメラマンさんはとても優しくて、『胸を強調するカットを撮りたいわけじゃない』と言っていただき、最後まで楽しくできました」

出来栄えに編集部も納得。豊島での6ページ展開を決め、それが世に出る前に別号での表紙起用を決定した。発売日にはコンビニ、書店で豊島の顔が見られる状態になった。

「うれしかったのですが、わざと自宅から離れたコンビニに行って見ました。私、鼻の横にホクロがありますし、いつも行く店だと店員さんが気付いて『あっ』となるかもしれないですし(笑)」

表紙の反響はすさまじく、すぐにデジタル写真集の発売、2度目の表紙起用が決定した。何より大きかったのが、『君が獣になる前に』の主要キャストに決まったことだ。

「プロデューサーさんが表紙を見て、『この子、どうですか』と監督さんに提案されたそうです。監督さんも『いいね。この子にしよう』と言ってくださり、私のテレビドラマ初レギュラー出演が決まりました。目標の1つが叶った瞬間でした。グラビアをやって良かったです」

グラビアで顔を売り、知名度を上げてから俳優活動へ。芸能界では王道の手法で、細川ふみえ、雛形あきこ、橋本マナミ、倉科カナ、今田美桜……と成功例は数多い。豊島は早くも1つのチャンスをつかんだが、そこには男性マネジャーの存在が大きかった。男性は、かつてグラビア、バラエティー、俳優業の同時活動を続け、「名優」となった小池栄子の元担当だった。

「マネジャーさんからは『グラビアもおしゃべりもお芝居もできるようになりなさい』と言われています。私はバラエティーに出るとまだ緊張しますが、早くそうなりたいです」

プライベートではアイドル好き。男性、女性ともに推しのグループがあり、チケットを自力で入手し、ライブやファンミーティングにも参加している。一緒に写真を撮ってもらう機会もあるというが、そろそろ「顔バレ」してもおかしくない状況だ。

「できればメンバーの方々にはバレたくないです。でも、バレても推し活は続けたいです」

スターを目指しつつ、自分にとってのスターを応援していく。そして、その推しからも推される日を夢見て、豊島は前進を続ける。

□豊島心桜(とよしま・こころ) 2003年9月25日、新潟・五泉市生まれ。中2で参加した「ミスセブンティーン2017」のオーディションをきっかけに現在の事務所にスカウトされ、高校進学とともに上京。高1の19年から活動を始め、20年4月からフジテレビ系『めざましテレビ』の情報コーナー「イマドキ」のリポーターを担当。ドラマはテレビ朝日・ABC系『マリーミー』、WOWOW『セイレーンの懺悔』などに出演。CMはdocomo、ブルボン、河合塾、国の教育ローンなど多数。特技はクラシックバレエ。167センチ、B82-W62-H88センチ。柳田通斉

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