天下泰平願い軽やかに 日光山輪王寺で「延年舞」 50人の参列者見守る

声明が響く中、奉納される延年舞=17日午前9時5分、日光市山内

 日光市山内の世界遺産・日光山輪王寺で17日、約1170年前から伝わる秘舞「延年舞(えんねんのまい)」が奉納された。約50人の参列者が見守る中、舞衆を務めた2人の僧侶が伝統の舞を披露した。

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 延年舞は、慈覚大師円仁(えんにん)が848年に日光へ伝えたとされる。国土安穏や延年長寿などを願い、日光山の諸仏諸神に奉納される。毎年、日光東照宮の例大祭に先駆けて行われている。

 舞衆は白袈裟(けさ)で頭をかぶと形に包み、緋(ひ)色の直垂(ひたたれ)と短刀を背中に付けたいでたち。本堂の三仏堂内の檜(ひのき)の舞台で、先に舞う上座(じょうざ)と、次に舞う下座(げざ)に分かれ、舞台後方に並んだ僧侶たちが声明(しょうみょう)を唱える中、軽やかに舞った。

 上座を務めた安養院の畠山慈朋(はたけやまじほう)住職(46)は「争いごとや災害で苦しんでいる人がいる。天下泰平の願いを込めた」と話していた。

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