今永昇太の〝成功の裏側〟を前田幸長氏がズバリ 好投の要因は「投球の質と高低」にあり

無傷の5勝をマークしているカブス・今永

カブス・今永昇太投手(30)はMLB1年目ながらも、8度の先発で無傷の5勝をマークしている。13日(日本時間14日)の敵地ブレーブス戦でも勝敗こそつかなかったものの5回7安打無失点の快投で防御率は驚異の「0・96」をたたき出し、新人賞どころか日本人初となるサイ・ヤング賞の候補者にまで挙げられている。MLB解説者でおなじみの本紙評論家・前田幸長氏に左腕の「成功の裏側」を聞いた。

地元シカゴだけではない。予想以上の大活躍によって全米に「SHOTA IMANAGA」の名前が響き渡っている。そんな今永の〝奮投〟ぶりについて、現役時代に同じ左腕としてマウンドに立った前田氏は「契約前から(ドジャースの)山本と比べられて移籍してからどうなるかと思いましたが、これは予想外です」と目を丸くした上で「好投の要因は〝投球の質と高低〟にあると思います」と指摘し、次のように続けた。

「今永はキャンプで甘く入った直球をとらえられ、一発を食らうことが多かった。本人も試合後に『高めの直球が重要だ』と振り返っていたように最近の投球を見ても、やはり〝高めの直球〟にはかなりこだわっている。あとは低めの〝スプリットチェンジ(フォークのような軌道を描くチェンジアップ)〟。腕の振りが良い上に打者の前で低めに落ちるから、空振り三振になる打者が多いのでしょう」

また、メジャーのストライクゾーンも今永の好投を大きく後押ししているという。

「MLBは、日本プロ野球のストライクゾーンよりも高低が広くコースが狭い。だから高めの直球と低めのスプリットチェンジがよく入るんです。その点に関しては(配球が)組み立てやすいのではないかと思います」

サイ・ヤング賞獲得の可能性に関しては、やや悩みながらも「難しいでしょうね」と口にした。それでも「これまでも多くの日本人選手が取れそうで取れなかった。米国は寒暖差も激しいし、中4日~5日の休みもある。そんな環境の中で体調を万全にしつつ好投を続ければ…。もちろん(獲得の)チャンスはあります」とし、含みを持たせることも忘れなかった。

次回登板は18日(同19日)の本拠地パイレーツ戦。このまま〝無双ロード〟を突っ走れるか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社