つばさの党・黒川敦彦代表ら逮捕でも都知事選が〝静かにならない〟ワケ

逮捕された根本良輔容疑者(左)と黒川敦彦容疑者

警視庁は17日、4月の衆院東京15区補選で他陣営の街頭演説を妨害した公選法違反(自由妨害)の疑いで、政治団体「つばさの党」の黒川敦彦代表、根本良輔幹事長、杉田勇人組織本部長の3人を逮捕した。

今後の焦点は、小池百合子都知事との全面対決を宣言している黒川容疑者らが逮捕を受け、都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)にどのような形で関与してくるかだ。

警視庁が13日につばさの本部や関係先などを家宅捜索した際、黒川容疑者は「捜査は小池都知事の圧力」と反発。すでに都知事選への立候補を表明していたとあって、逮捕や立件は「選挙妨害になる」と手は出されないとタカをくくっていたが、Xデーはすぐさま訪れた。しかも在宅のままの立件ではなく、身柄拘束での逮捕となった。

「捜査2課は2006年に近未来通信を巡る投資詐欺事件以来となる特別捜査本部を設置し、本腰を入れて捜査に当たる構えです。つばさは街宣車を数台抱え、全国で活動するなど資金力が豊富で、カネの流れなども追いたいようです」(永田町関係者)

通常は23日間の勾留後に起訴、不起訴が判断され、不起訴ならば身柄釈放となる。法曹関係者は「表現の自由との線引きが難しい事案にもかかわらず、逮捕に踏み切り、もはや小池氏や警視庁のメンツがかかった〝国策捜査〟。罰金などの略式起訴では済まないのでは。黒川氏らが否認し続ければ、起訴後も勾留され、しばらくは保釈が認められない可能性もある」とシャバには出られない事態もあるとみる。

都知事選は1か月後に迫るが、推定無罪が働いている間は勾留されていても立候補は可能で、昨年9月の東京・立川市長選には名誉毀損で逮捕、勾留されていたユーチューバーの男性は〝獄中立候補〟している。

保釈されなければ、街頭での活動はできないが、黒川容疑者は逮捕される前夜のSNSで、都知事選期間中は都内の主要駅5か所に街宣車を配置し、「爆音でヘイヘイヘイをやる」と小池氏の学歴詐称疑惑や都政の追及を予告していた。

この日、3人の逮捕後も残ったつばさのメンバーが都庁前や小池氏の自宅前で抗議の街宣を行い、幹部不在でも活動は続行される見込み。「小池氏vsつばさ」はまだまだ終わらないようだ。

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