高濃度のPFAS、兵庫県の明石川上流で検出 国の暫定目標値の最大92倍 市「飲み水として問題ない」

明石市役所=明石市中崎1

 発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を巡り、明石市が明石川上流の水路で行った水質検査で、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の最大92倍に当たる濃度のPFASを検出していたことが、市への取材で分かった。市は現状を把握して浄水処理の方法を判断するために水質検査をしていたが、「あくまで浄水処理後の水質が目標値を下回るかどうかが重要」として検査結果を公表していなかった。

 明石市は、国が定める「水質管理目標設定項目」にPFASの一種「PFOA」などが追加される直前の2020年2月から、民間機関に検査を委託している。検査地点は市内の浄水場や水源となる明石川など少なくとも20カ所あり、神戸新聞社は20年2月~24年3月の検査結果報告書約300枚を確認した。

 それによると、神戸市西区押部谷町の水路で23年2月に採取した水から、4600ナノグラムのPFOAを検出。同地点では20年8月に4100ナノグラム、23年8月にも4300ナノグラムを検出していた。直近では今年2月に1900ナノグラムだった。

 明石市は採取地点の下流にある神戸市西区持子1の上水源取水口から河川水を取り込み、市内2カ所の浄水場で活性炭処理などを行っている。明石市水道局の担当者は「水量が多く、PFOAの濃度が低くなる時期に取水するなど工夫もしており、末端の水道水は高い時で20ナノグラム程度に抑えられている。飲み水として問題はない」と説明する。

 神戸市も明石川本流や支流など十数カ所を定点観測しているが、西区押部谷町の水路は河川ではないため調査対象に入っていないという。同市環境保全課の担当者は取材に「今後の対応を検討したい」とする。

 一方、公表されている神戸市の今年2月の調査では、西区平野町の地点で1300ナノグラムと高い数値が出ている。同課によると、別地点の調査結果からみて押部谷町の水路との関連性は低いという。

 担当者は「平野町周辺に排水源とみられる工場などがないか探したが、明確な原因はつかめていない。継続監視しつつ、調査も進めたい」としている。(谷川直生、井沢泰斗)

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