「頭皮」や「毛髪」への悪影響を製品ごとに知る【プロに学ぶ「白髪染め」「白髪のぼかし」】

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【プロに学ぶ「白髪染め」「白髪のぼかし」】#4

【Q】「白髪染め」「白髪ぼかし」それぞれの副作用(頭皮や毛髪への影響)について教えてください。

【A】製品ごとの違いで説明すると、ヘアカラーで白髪染めの場合、過酸化水素やアルカリを配合するために、頭皮刺激が起こることがあります(注:過酸化水素水はカラーやブリーチなどで使われる酸化剤、漂白剤のこと。濃度は1~6%。一般的にはオキシドールとも言われ、薬局で殺菌剤として使われるものは濃度3%)。

ヘアカラーで白髪ぼかしの場合は、過酸化水素やアルカリ濃度が低いために頭皮刺激が抑えられます。また、両方とも過酸化水素を使用しているために毛髪へのダメージが起きやすい製品でもあります。

白髪染め、白髪ぼかしに加えて植物で染めるヘナはパッチテストが義務付けられています。これらの製品はごく稀にアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を起こすことがあります。事前にパッチテストをする人はわずかですが、重篤になると医療機関を受診するケースも稀にあるので、パッチテスト(48時間)をすることをおすすめします。

ヘナは、インドからアフリカまで広く生育するミソハギ科の双子葉植物の葉を乾燥させてパウダーにして用いるものです。ヘナで染毛した紀元前3500年前のミイラがエジプトから見つかっており、古くからエジプト、中東、インドで毛・髭の染色やタトゥーとして使用されてきました。歴史的に最も古い毛染めで、植物性(天然)というイメージから使用される方も多いようです。

過酸化水素を使用するヘアカラーとの大きな違いは、毛髪へのダメージが極めて低いことがあげられます。ヘナの場合は化学反応ではなく、ヘナの成分が毛髪の主成分であるタンパク質と結合することで染まります。ヘナでのトラブルで多いのは、アレルギー反応によるかぶれやかゆみ、頭皮の炎症などがあげられます。

ヘアマニキュア、カラートリートメント等は頭皮刺激がきわめて低く、毛髪へのダメージが起きにくい製品です。ただし、頭皮や手指に染まることもあるので、必要であればゴム手袋をして丁寧に染めることが必要になります。カラースプレー等は毛髪に浸透しないので頭皮刺激がきわめて低く、毛髪へのダメージが起きにくい製品です。(つづく)

(山内力/日本毛髪科学協会 特任研究員)

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