中学教諭から転身34年、震災機に兵庫へ 異色の警察署長、仕事のモットーは「明るく楽しく」

「今、署長を務められているのも周りの支えのおかげ」と感謝を述べる齋藤健司署長=三田市天神1、三田署

 中学校の数学教諭から警察官に転じて34年。兵庫県警三田署長に今春、異色の経歴を持つ齋藤健司署長(59)が着任した。「仕事は明るく元気に楽しく。その場その場でできることはすべてやり遂げる」。初の訓示でも署員に伝えたモットーを胸に、市民の安心安全を守り抜く。(尾仲由莉)

現役最後の職場・三田、気になるのは…

 京都市出身。高校時代、ラグビー部の顧問に勧められ、教員を目指した。大阪体育大学、同大学院に進み、滋賀県の中学校で教員になった。

 けんかや非行で警察沙汰になる生徒も多い学校で、補導された生徒を迎えに警察署によく行くうちに、署員と顔見知りになった。少林寺拳法を10年ほど習っていたことを話すと、「警察官に向いているよ」と言われた。

 補導された生徒の中には親が迎えに来ない子も多く、たくさん話を聞いた。「警察官なら少年たちのことをもっと見てあげられるんじゃないか」。そう思うようになり、25歳の時、滋賀県警に入庁した。

 二つ目の転機は1995年の阪神・淡路大震災だった。当時は八日市署(現・東近江署)に勤めていたが、手を挙げて兵庫県警の機動捜査隊に特別派遣。そのまま97年、永久出向を希望して兵庫県警に移った。

 山口組などの暴力団捜査をしたかったこと、署員たちが明るく若々しく見えたことが理由だった。刑事畑が長く、尼崎西署時代に本部の応援なしで容疑者3人を逮捕したゲーム喫茶強盗などが印象深いという。

 三田署勤務も署長就任も初めてで、管内の交通事故の多さを気にかける。今年1月から4月末までに発生した物損事故のうち、駐車場やその付近での事故が半数近くを占め、「うっかりミスが多い。広い駐車場でも気を緩めないで」と注意を呼びかける。歩行者が絡む事故も増加傾向で、信号のない交差点の横断歩道での取り締まりを強化している。

 三田が現役最後の職場になるといい、「地理を覚えるためにも休みの日に市内全体をドライブし、おいしいグルメを探すのが楽しみ」とほほ笑む。

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