アコヤガイ稚貝の種苗生産不調 ほとんど出荷できず 宇和島の県漁協下灘支所 原因不明、25年春以降の影響懸念

1月からアコヤガイ稚貝の生産不調が続く県漁協下灘支所真珠貝研究所=13日、宇和島市津島町泥目水

 真珠養殖用アコヤガイの稚貝を種苗生産している愛媛県漁協下灘支所真珠貝研究所(愛媛県宇和島市津島町泥目水)で、1月から原因不明の生産不調が続き、市内の母貝養殖業者にほとんど出荷できていないことが17日までに分かった。研究所は県内で稚貝の種苗生産の中核を担う2施設のうちの一つ。稚貝が相当数不足するとみられ、一定の大きさにまで育てて真珠養殖業者に販売する2025年春以降の影響が懸念されている。

 宇和海沿岸では19年からウイルスが原因の稚貝の異常死が問題化しているが、生産不調となっているのは母貝養殖業者が海で育てる前の段階の稚貝。県水産研究センター(同市下波)が1月ふ化分を調べたところ、異常死の原因ウイルスは検出されていないという。もう一つの中核施設である愛南町海洋資源開発センターでは種苗生産に問題はないとしている。

 同支所によると、1月ふ化ではネットへの付着作業をした数日後に稚貝が餌を食べなくなり、死んだことが確認されて生産を中止した。約1500万個を目標としていた3月ふ化でも同様の状態が見られ、稚貝を海に出す対策を実施した。5月8日に希望した約50の母貝養殖業者に稚貝を配布したが、同支所は「(生存数は)ゼロに近いのではないか」としている。

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