スターダム岩谷麻優「おじさまたちが泣いていた」自身の半生描いた「家出レスラー」公開に感慨、朱里は涙

IWGP女子王者、スターダム・岩谷麻優が17日、都内のユナイテッド・シネマ豊洲で自身の自伝を原案とした映画「家出レスラー」の公開初日舞台あいさつに朱里、ゆきぽよ、向後桃らと登壇。自身の役「マユ」を演じた平井杏奈のアクション吹き替えを務めたことを明かした。

岩谷の自伝本「引きこもりでポンコツだった私が女子プロレスのアイコンになるまで」を元に、プロレスラーになるために家出した主人公マユ。デビュー後はスタミナ、技術不足を指摘され、私生活を含め自他共に認める〝ポンコツ〟だったが、団体の危機に直面する中で覚悟が芽生え、女子プロレスのアイコンへと成長する姿が映し出される。

岩谷は「マジで感無量、マジでいい映画」と感慨を口にした。この日は登壇前に別の映画館で鑑賞したといい「周りのおじさまたちが泣いていた。誰かの心に刺さる、希望になる映画だと思う」と公開を喜んだ。

平井は原作を読んだことがきっかけで「今まで歩んできた境遇や経験が自分にリンクして、まるで自分なんじゃないかと勝手に運命を感じた」とオーディションを受けた。岩谷は「麻優が憑依(ひょうい)しているんですけど、杏奈ちゃんの良さや生き様がちゃんと出ていて、全部が良かった。語彙力ないんだけど、本当に良かったの」と称賛した。

朱里はマユの戦友・羅月を演じるとともに、女優陣のプロレス指導を務めた。平井から感謝されると「最初はどうなることかと思ったが、メチャクチャ頑張ってくれた。急成長してくれて、レスラーになるんですか、というくらい。ゆきぽよちゃん、小坂井ちゃんも最初は痛い、嫌だと言っていたのに、本番に強かった、カッコ良かった」と振り返ると、感極まって涙声になった。

マユの同期・東子を演じたゆきぽよは「地元ではストリートで生きてきたタイプなので、プロレスラーの方々とマインドが合って馴染みやすかった。撮影は合宿みたいで、撮影終わりは全員が大号泣。ワンチームでしたね」と振り返った。ロープワークが苦手でアザができたといい「基本は酔っぱらった時にアザをつくるんですけど、勲章というか背中にできたアザが嬉しかった」と胸を張った。

スターダムではリングアナを務める小坂井はレスラーを演じ「プロレスラーを尊敬していて、実は憧れていた」と、着用した劇中の試合コスチュームをいとおしそうに見つめた。

ここで岩谷は、プロレス場面で大技を繰り出す際、平井のアクション吹き替えを行ったと明かした。「杏奈ちゃんと合わせるために髪を切り、髪を染め、エクステをつけて役作りをしました。後ろ姿がそっくりすぎて、どっちがどっちか分からないくらい」と言い、「杏奈ちゃんが演じる岩谷麻優役を麻優が演じました」と嬉しそうに話した。

風香をモチーフとした流香を演じた向後桃は、プロレス練習から参加し、出演者の成長を見守った。「皆が変わっていく姿を見ていたので、その気持ちが画面に出て良かった」と自身の演技を振り返った。

レフェリー役のHGは「『家出レスラー』フォー!」と往年の人気ムーブを披露。プロレス団体「ハッスル」時代にはデビューを見守った朱里と共演し、「朱里選手がプロレス練習、試合シーンの監修からメチャメチャ頑張っていた。『ハッスル』時代の思い出もこみ上げてきて、感慨深かった」と語った。

竹中直人は創設者のロッシー小川氏をモチーフとしたグッシー小串を演じた。この日は登壇者で唯一劇中衣装ではなく、「みなさんとテンション合わせるために」と80年代男性アイドルのような姿で登場。「昔『シコふんじゃった。』という映画に出たんですけど」と、周防正行監督による1992年公開の名作を引き合いに出し「練習がものすごく大変。土俵はもうちょっと軟らかいと思ったら硬くて、めちゃくちゃ痛かった。皆さんは素晴らしい」と平井、ゆきぽよらをねぎらった。

最後は平井が「プロレス好きの方はもちろん、試合を見たことがないという方にも届いてほしい。何より、生きづらさを感じる全ての皆さんの希望となる作品になることを心から願っています」とアピールし、舞台あいさつを締めくくった。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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