日本舞踊・音楽・狂言・朗読劇 5月26日に5団体が「市民みんなの文化祭」

 文化芸術団体のネットワークづくりや、山口にちなんだ古今の優れた作品・人物に光を当てることなどによって「市民の郷土への誇りを高めよう」と活動している「明日を紡ぐ大地の会」(福島光子代表)が、5月26日(日)に「2024市民みんなの文化祭」を開催する。会場はニューメディアプラザ山口(山口市熊野町1)で、午後1時半開演。

 

 異なるジャンルの文化・芸術活動に取り組む団体・個人による合同発表会で、2014年から毎年続けられている。出演するのは、「むつみ会」「べすぱ」「ブラッドオレンジ」「山口鷺流狂言保存会」「明日を紡ぐ大地の会」の5団体。山口鷺流狂言保存会は、今回が初出演となる。

 

 日本舞踊花柳流「むつみ会」は、女性7人が舞う「晴れ姿なにわ踊り」と、男性が「うちわうちわ、丸い月に柄をそへて」と舞う「うちわ売り」の2曲を披露する。

 

 拠点を山口から熊本に移して10年になるアコースティックデュオ「べすぱ」の松浦香織さんは、「存在の確認」などを歌う。

 

 パーカッション奏者の川手艶子さん率いる5人によるユニット「ブラッドオレンジ」は、「花」「さくら」「りんご追分」「世界に一つだけの花」など8曲で構成する「HANAメドレー」を演奏。

 

 今年創立70周年を迎え、3月には初めての沖縄公演も行った「山口鷺流狂言保存会」は、「うそにうそを重ねると…」といった教訓も盛り込まれた演目「清水」を上演する。

 

 

朗読劇「花よジャンケン」

 

 主催する「明日を紡ぐ大地の会」は、郷土の詩人・礒永秀雄に焦点を当てた朗読劇「花よジャンケン-中也の詩による幻想曲」を披露する。

 

 礒永秀雄(1921-1976)は、旧朝鮮・仁川生まれ。京城中、姫路高を経て東京帝国大学美学科に進学するも、学徒動員で南方のハルマヘラ島へ送られ、戦場体験を強いられた。戦友の大半が犠牲となる中で礒永は生き延び、父親の出身地である光市に復員した。光高校や徳山高校の教師をしながら、詩、童話、随筆などを発表。29歳の1950年に詩誌「駱駝(らくだ)」を創刊し、翌年には詩集「浮灯台」で第1回山口県芸術文化振興奨励賞を受賞した。55歳の短い生涯を終えるまで、戦争体験を原点とするさまざまな作品を生み出した。

 

 台本を書いた同会の福島久嘉さんは「ヴェルレーヌや中原中也、宮沢賢治を深く敬愛する礒永は人間の情愛を豊かにうたう抒情詩人だったが、人間の親愛を踏みにじるものには火のような怒りを燃やして立ち向かう修羅の詩人でもあった。侵略や戦争が常態化し、人類の欲望によって自然破壊が極限を超えて深刻化している現在、文化芸術の力で平和の歌を広げる営みの重要性は増している。とりわけ礒永の詩の響きに耳を傾けることは、混迷の時代を生きる私たちにとって希望を与えてくれる」と話している。

 

前売り券は一般1000円で、山口市民会館、C・S赤れんが、YCAM、山口井筒屋、三好屋レコード店で販売中。当日料金は1200円で、大学生500円、高校生以下は無料。問い合わせは同会(TEL083-921-2476)へ。

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