憧れの騎馬武者 いざ初陣 相馬農高2年の小林海斗さん 「相馬野馬追」まで1週間 福島県南相馬市

高校から馬術を始め、相馬野馬追への憧れを胸に初陣を飾る相馬農高2年の小林さん

 25日から始まる国重要無形民俗文化財「相馬野馬追」まで1週間。福島県南相馬市原町区の相馬農高2年の小林海斗さん(16)は、中ノ郷騎馬会から初陣を飾る。高校から馬に乗り始め、5月上旬に行われた馬術競技の県大会で優勝するなど才能を開花させる。大会が重なり準備が遅れながらも、相馬野馬追への憧れを胸に「神旗争奪戦で旗をとる」と活躍を誓う。

 市内鹿島区出身。馬は縁遠い存在だったが、子どものころから野馬追は身近なお祭りだった。騎馬武者が路上を堂々と歩く姿や力強い口上に驚きながらも、その迫力に憧れを抱いた。祖父の良夫さんが長年野馬追に出陣していたことを写真で知り、ますます意欲が高まった。

 友人の影響もあり馬好きになると、中学までは親の勧めで野球やバレーを続けていたが、初めて自分から「やりたいこと」を伝え、馬術部のある相馬農高に進学。実際に馬に乗ってみると目線の高さに怖くなったが、新しく学ぶことが多く、夢中になった。授業中や家にいるときも馬のことを考え「人生を変えてもらった」と感謝する。素直な性格で周りからの助言を吸収し、昨年の県高校新人体育大会の男子初級障害飛越で優勝するなど頭角を現した。

 中ノ郷騎馬会所属で騎馬武者経験も豊富な馬術部の外部講師に頼み、憧れの野馬追で初陣を迎える。5月へ前倒し開催になり涼しくなると喜んだのもつかの間、怒濤(どとう)のスケジュールに頭を悩ませた。野馬追3週間前の4、5の両日に県高校体育大会(県高体)、2週間前の11、12の両日に県総合スポーツ大会(県スポ)がそれぞれ開かれ、練習に忙殺された。体力的な負担を感じながらも手を抜かず、県高体の男子貸与馬初級障害飛越で優勝し、県スポの小障害飛越Ⅰと小障害飛越Ⅲ・少年でも頂点に立った。

 良い流れを感じながら、18日から野馬追に向けた準備に集中する。初騎乗の馬に慣れない硬いサドルで不安を感じながらも「落馬は1回くらいしかない」と自信をのぞかせる。当日は行列と神旗争奪戦に参加する予定で「ワクワクしている。誰かの印象に残るような活躍をしたい」と意気込んでいる。

高校から馬術を始め、相馬野馬追への憧れを胸に初陣を飾る相馬農高の小林さん

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