【インタビュー】長崎純心大学長に就任した 坂本久美子さん(56) 世界に貢献する知恵を

長崎純心大の3代目学長に就任した坂本さん

 4月1日付で長崎純心大の3代目学長に就任した。少子高齢化や若年層の県外流出などの地域課題に向き合いながらの大学運営について聞いた。

 -学生の学びの質をどのように確保していくのか。
 本学はカトリシズムの建学の精神に基づき、「知恵のみちを歩み 人と世界に奉仕する」をモットーに掲げる。単に知識を詰め込むだけでなく、知識を生かし、人や世界に貢献する知恵を身に付けてほしい。そのために絶えずカリキュラムを見直し、改善を図りながら丁寧な教育を目指す。

 -具体的には。
 学生には学びの内容や卒業後の出口を示す必要がある。本年度からは全ての科目に、関連する資格や使用する言語を示すコードを設け、授業内容を分かりやすくした。また学修成果を可視化する「GPSアカデミック」を導入し、自身の成長を測れるようにした。学科名は文化コミュニケーション学科を言語文化情報学科に、地域包括支援学科を福祉・心理学科に変更。受験生にとって何を学ぶか一目瞭然となった。

 -卒業後の学生の状況は。
 いずれの学科も就職率は99%と高く、県内就職も多い。国家試験取得は、社会福祉士の合格率が昨年度83.3%で過去最高だった。このうち1人は精神保健福祉士、3人は介護福祉士とのダブル合格を果たした。大学院では公認心理師の受験資格が得られるが、こちらも合格率は9割。少人数教育のメリットが出ている。もちろん不合格の学生の努力もしっかりと言葉にしてたたえ、社会に送り出すことも忘れてはいけない。

 -地域の大学に求められる役割は。
 若年層の地元定着は本学の大切な役割だが、私たちが学生を地元に縛り付けるのではなく、学生たち自身に、地元で学び、働く意欲を育てるのが理想だ。学生は授業で地場企業と商品を開発したり、地元の施設で実習したりしている。県内就職率は高水準で推移し、学生の地元愛につながっている。今後はリカレント教育(学び直し)や留学生の拡大にも力を入れたい。

 -全学科を男女共学化してから5年が過ぎた。
 詳しい効果検証はこれからだが、学生が多様な視点を得るメリットがあった。男子学生受け入れで入学者が増えたが、今後の安定的な学生確保のためには、教育の質や進路の幅を継続的に示すことで選ばれる努力が必要だ。

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