強風で倒木や建物破損、停電や交通乱れも 飛島で風速32.2メートル、全国2位

強風で阿弥陀堂の立ち木が倒れた現場。県道をふさぎ、電線も切断した=17日午前10時41分、上山市阿弥陀地

 県内は17日、低気圧の影響で強い風が吹き、各地で倒木や建物の破損が確認された。酒田市飛島では午前10時40分に最大瞬間風速32.2メートルを観測し、同日午後3時現在で新潟県佐渡市(両津)に次ぐ風の強さだった。停電も発生し、鉄道、空の便のダイヤが乱れるなど、強風による影響や被害が相次いだ。

 【停電】上山市阿弥陀地では、高さ15メートルほどのモミの木が根元から倒れ、電線が切れた。東北電力ネットワーク山形支社によると、最大で計約600戸(街路灯などを含む契約数)が停電し、午後0時45分ごろに全面復旧した。鶴岡市でも約50戸が停電した。

 【倒木】酒田市大宮町1丁目では街路樹が歩道に倒れているのが見つかり、鶴岡市本町1丁目の内川沿いでは、街路樹が川に倒れていた。山形市山寺の市道でも倒木が確認され、撤去作業のため一時通行止めとなった。

 【建物】鶴岡市では国の重要文化財「旧鶴岡警察署庁舎」出入り口の木製扉が外れた。酒田市の飛島では市とびしま総合センターの屋根にある防水シートが剥がれ、舟形町の富長交流センターではトタン屋根の一部が落下した。小国町針生では住宅の屋根の一部が道路脇に飛んだ。

 【農業関係】県防災危機管理課によると、西川町で雨よけハウス1棟が全壊し、山形、長井、白鷹の各市町で計4棟のビニールハウスが破損した。

 【鉄道】JR東日本山形支店によると、羽越本線は特急いなほと普通列車の上下9本が最大2時間7分遅れた。陸羽東線は上り普通列車1本が区間運休し、下り1本が43分遅れた。計約660人に影響した。フラワー長井線は白鷹町内での倒木などの影響で上下7本が最大2時間遅れ、約300人に影響が出た。

 【空路】庄内空港の全日空庄内―羽田便は4便が欠航した。乗客約590人に影響が出た。

5カ所で風速5月史上最大

 酒田市飛島や鶴岡、飯豊町高峰など5カ所の最大瞬間風速は5月の観測史上最大となった。山形地方気象台によると15日に朝鮮半島付近で発生した低気圧が発達しながら日本海を北東に進んだ。東北地方上空約5500メートルには、氷点下21度以下の、この時期としては強い寒気が流れ込み大気の状態が不安定となった。

 県内の最大瞬間風速は午後3時までに酒田市飛島32.2メートル、同市浜中26.7メートル、鶴岡24.9メートル、同市鼠ケ関24.6メートル、飯豊町高峰16.7メートルを観測し、いずれも5月の観測史上最大。

 18日の県内は高気圧に覆われて晴れ、風が弱まり穏やかに推移する見込み。

強風で街路樹が倒れた現場=17日午後1時49分、鶴岡市馬場町

© 株式会社山形新聞社