「運命なのかな」「らしい終わり方」岡崎慎司が引退試合に達成感。STVV指揮官に感謝「フィンクが監督で良かった」

日本人6選手が所属するシント=トロイデン(STVV)は現地時間5月17日、ベルギーリーグの第39節(プレーオフ2の9節)で、三竿健斗と明本考浩が先発したルーベンとホームで対戦。66分に先制した直後に追いつかれ、そのまま1-1で終わった。

今季限りで現役を引退する岡崎慎司は、鈴木彩艶、伊藤涼太郎、山本理仁、藤田譲瑠チマと共に、この本拠地ラストマッチに先発(小川諒也はメンバー外)。慣れ親しんだCFに入り、52分に下がるまで、持ち前の献身的なプレスなど、らしさ溢れるプレーを貫いた。

ピッチを後にする際は、三竿と明本をはじめとした相手選手を含め、両軍が花道を作って送り出す粋な演出。日本代表で119キャップを刻んだ38歳は、屈託のない笑みを浮かべた。

引退試合を終えた岡崎は試合後、クラブ公式のインタビューに対応。まず、かつてヴィッセル神戸を率い、今季からSTVVで指揮を執るトルステン・フィンク監督に感謝を示した。

【動画】両チームが作った花道を通ってピッチを去る岡崎
「フィンクが監督で良かったなって。今日も『最初20分でどうだ?』みたいな感じだったんですけど...フィンクはやっぱ勝ちたいので。その当然の意見を話してもらえて、自分は『出たいっす』みたいな。そこで僕の決意も固まりました。復帰して足が痛いなかでのプレーだけど、吹っ切って『とりあえず飛ばしていこうかな』と言って、見てくれみたいな。『もし行けそうだったら、前半やり切らしてほしい』と言って、監督が使い続けてくれました。

ずっとそういう生き方をヨーロッパでやってきたなと思ったので、最後までやりきるって意味では、らしい終わり方だったなと思います。ああいう風にやってもらえる(花道の演出)のも想像してなかったので。相手チームにまでやってもらえて。本当に良い終わり方ができたと思います」

三竿と明本を含め、日本人7選手がスタートからピッチに立った。「彼らに伝えたいことは?」と問われると、「幸せですね」と一言。喜びを嚙みしめ、熱い想いをこう明かした。

「ヨーロッパに来て、ブンデスでも何度も日本人の選手とやってきたし、プレミアでもやったし、スペインでもやったし、常にそこの場に日本人がいて、やっぱその選手たちのおかげで僕もやってこれたと思っています。

今回、シント=トロイデンで若手たちと一緒にやりながら、こういう選手たちをプレーで引っ張れない悔しさをめちゃくちゃ感じつつ...それが引退を決意する1つの要因になりました。こういう選手たちがもっと上に行ってほしい思いがやっぱりあるので、そういう選手たちと一緒にこうやって最後を迎えたのは、運命なのかなと、本当にそれも含めて良い終わり方だったなと思います」

岡崎は清水エスパルスでプロキャリアをスタートさせ、ドイツのシュツットガルトとマインツ、イングランドのレスター、スペインのウエスカとカルタヘナでもプレー。レスターでは世界中を驚愕させる“奇跡のプレミアリーグ制覇”に大きく貢献した。

歴史に名を刻んだ名手がまたひとり、ユニホームを脱ぐ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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