米国の臨界前核実験に憤り、落胆 広島、長崎の被爆者

平和祈念像に手を合わせる人=18日午前、長崎市の平和公園

 米国が臨界前核実験を実施したことを受け、広島や長崎の被爆者は18日、「国際情勢の緊迫を一層高める言語道断の行為だ」と憤った。昨年のG7広島サミットは「核兵器のない世界」を目標に掲げた「核軍縮広島ビジョン」を発表しており、実験の継続に落胆の声も上がった。

 長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長の川野浩一さん(84)はロシアのウクライナ侵攻やガザ情勢も踏まえ、臨界前であっても米国の行為は容認できないと強調。「原爆は終生、人体に影響を与える。その恐ろしさがいまだに伝わりきっていないことがもどかしい」と語った。

 広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長(82)は「昨年のちょうど今ごろにサミットが開催されたのに、核実験は続いている。実験は使用を前提としており、核廃絶につながらない。米国は廃絶の先頭に立つべきだ」と批判した。

 4歳で被爆した横山照子さん(82)は「核保有国と、核廃絶を求める被爆者の溝が埋まりそうと期待していただけに、水を差された格好で憤りを感じる」と話した。

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