米が臨界前核実験 14日、バイデン政権で3回目

臨界前核実験が行われた核施設

 米国の核弾頭を維持管理する米エネルギー省核安全保障局(NNSA)が14日夕(現地時間)に臨界前核実験をしたことが17日、分かった。西部ネバダ州の核実験場内で、2021年9月以来の実施。バイデン政権下では3回目となる。「核弾頭に使われる物質の挙動に関する重要なデータを得るため」としている。

 NNSAによると、コードネームで「ニンブル(敏捷(びんしょう))」と呼ぶ実験の1回目で、ローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)と共同実施。25年前半にも計画している。今後、ロスアラモス国立研究所(ニューメキシコ州)も加わる予定という。

 米国は爆発を伴う核実験を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)をいまだ批准していないが、1992年から地下核実験を一時停止している。ただ97年から、プルトニウムなど核物質は使うものの核爆発は起こさない臨界前核実験を開始。今回で通算34回目となる。NNSAは「爆発実験を再開せず、核弾頭の安全性や信頼性を維持するのに必要な情報を収集できる」と強調する。

 NNSAは今月、中国新聞の取材に「24年前半に1回実施」と答えていた。広島県の湯崎英彦知事はバイデン大統領に宛てて「国際社会が積み上げてきた核軍縮を大きく後退させる」と中止を求める要請文を送付。県被団協(佐久間邦彦理事長)も同様に要請文を送っている。

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