ヴァルキリーLMHの開発は「予定どおり」とアストンマーティン。WECの2台体制義務化にも対応する姿勢を示す

 アストンマーティンは、V型12気筒エンジンを搭載するル・マン・ハイパーカー(LMH)の2024年第2四半期のロールアウトを前に、ヴァルキリーAMR Proのテストミュールでの開発フェーズを完了したとし、開発作業が「予定どおり」に進んでいることを明らかにした。

 アストンマーティンの耐久モータースポーツ責任者であるアダム・カーターは、イギリスの老舗スポーツカーブランドがポルトガルのアルガルベ・サーキットで2日間のテストを行い、アストンマーティン・ヴァルキリーAMR Proによる数カ月におよぶ初期開発を終えたことを明かした。

 これはシルバーストンでの初期テストの後に行われたもので、同氏によれば全スケジュールの行程は約1000kmに上ったという。

 カーターは、スパ・フランコルシャン・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権第3戦に集まった記者団に対し、細かいシステムやエレクトロニクスのテストを除き、初期の開発フェーズは「ほとんど終わった」と語った。

「必要な答えは得られたので今年後半にLMHマシンを走らせるまで、すべてを出し切る必要はない」

 LMHカーのロールアウトについて、カーターは、アストンマーティンは第2四半期(4~6月)の後半にシェイクダウンするという以前から伝えられている“ターゲット”を守っていると指摘した。

「目標どおりだ」と同氏。「すべてのレーシングプログラムがそうであるように、ものごとを推し進めていくため、つねにタイトな状況が続いている」

「第2四半期後半にシェイクダウンを行い、基本的には7月にサーキットテストを開始するつもりでいる」

 カーターはタイムラインやテストを実施する場所について具体的な言及を避けたが、最初のテストは1台のシャシーで行われ、その後「2024年後半に」2台目のマシンを追加する予定であることを示唆した。

 ハート・オブ・レーシングチームが走らせるヴァルキリーは、WECとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の両トップカテゴリーを対象としているため、開発が進むにつれてテスト作業は分割されたセットアップになる、とカーターは説明した。

「我々はまず、ヨーロッパで1台のテストカーとプログラムに集中し、一定のマイルストーンを超えたてから2台のマシンで作業を分割することになる」

「1台はアメリカで、もう1台はヨーロッパでテストすることになる」

 WECチームがイギリスで活動する一方、ウェザーテック選手権チームの活動はアリゾナ州のフェニックスを拠点とする予定だ。

 一方、マルチマチックはイギリスのブラックリーの拠点を通じて引き続きプログラムの一翼を担うが、カーターは同社が「単なるサービス・プロバイダー」であることを強調した。

「彼らはレースチームではなく、単なるサービスプロバイダーだ。つまり、彼らはシャシープログラムの一部ではあるが、レースチームはハート・オブ・レーシングなんだ」

■ハイパーカーの2台体制が義務付けられれば「必要に応じて対応」

 アストンマーティンによるWECハイパーカーカテゴリーへの参戦は、まもなく決定される見通しであるマニュファクチャラーに対する2台体制義務化の可能性と同時に設定される。

 2025年から適用されるこの新しいルール導入されれば、以前WECハイパーカークラスとIMSA GTPクラスの両方で「少なくとも1台」のヴァルキリーを走らせると述べたアストンマーティンに影響を与えることになるだろう。

 カーターはWECのトップクラスで2台体制が義務化された場合、アストンマーティンはWECでマルチカーをサポートする用意があることを示唆した。

「我々はWECが行っていることを全面的に支持する」と同氏。

「チャンピオンシップを見ると、明らかに成長している」

「我々はハイパーカープログラムにコミットしており、レギュレーションに何が入ってくるかを検討し、必要に応じて適応していかなければならない」

 カーターは2台体制がどのようなものになるのか、ハート・オブ・レーシングが両方のクルマを走らせることになるのかなど、それ以上の詳細について言及を避け「レギュレーションが発表されるまでは、現時点では推測の域を出ない」と述べた。

 しかし彼は、WECで2台体制が義務化されたとしても、アストンマーティンが1台体制で取り組むウェザーテック選手権のGTPプログラムには影響しないと断言している。

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