会社を退職後はしばらく休養します。この間、今の保険の「任意継続」と「国保」どちらが安いでしょうか?

任意継続の特徴と計算方法

会社を退職するまでに、被保険者期間が2ヶ月以上ある場合、退職の翌日から20日以内に手続きを行うことで、最長2年間会社の健康保険を任意継続できます。原則として2年間保険料は変わりません。

具体的には「退職時の標準報酬月額×居住する都道府県の保険料率(40~64歳は介護保険料率を含む)=任意継続の保険料」で算出します。

保険料には上限があり、退職時の標準報酬月額が30万円を超える場合は、全て30万円を上限とし算出した保険料となります。ただし在職中は、保険料を事業主と自身で折半していますが、退職後は事業主の分も自己負担となるため、目安として退職時の2倍の保険料を支払わなければなりません。

実際の保険料は、居住する都道府県によって異なります。詳しくは、協会けんぽの最寄りの支部へ問い合わせてみましょう。

国民健康保険の特徴と計算方法

国民健康保険の保険料は「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分(40~64歳までの人)」の3つがあり、それぞれ「均等割額」「所得割額」が設定されています。保険料は、そのすべての合計額です。

保険料は前年の所得・扶養家族などによって異なり、1年ごとに見直されます。令和6年度分の渋谷区を例に確認しましょう。

表1

※渋谷区 「保険料の計算」を基に筆者作成

国民健康保険は加入者ごとに計算するため、扶養家族がいる場合は個々に計算し、合算した額が請求されます。

なお「所得割算定基礎額」とは、収入が給与のみの場合総所得金額(源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に書かれた額)から基礎控除43万円を引いた額です。

住んでいる市区町村によって、保険料が変わります。詳しい金額を知りたい場合は、最寄りの保険年金課で相談しましょう。

任意継続と国民健康保険のどちらを選ぶべきか

任意継続と国民健康保険のどちらを選択するべきかは、前年の所得や扶養家族の有無などによって異なります。

例えば所得で比較すると、国民健康保険は1年目は在職中の所得を基に保険料が計算されますが、その後は休養中の所得を基に計算されます。そのため、1年を過ぎると、保険料が減る可能性があるでしょう。

任意継続の場合、2年間保険料は変わりません。一切収入がなくなったとしても、2年間は同じ額を納付し続ける必要があります。

扶養家族で比較すると、任意継続では会社負担分も自身で負担することにはなるものの、扶養家族もそのまま継続して保険に加入できる点はメリットです。

国民健康保険の場合、扶養家族の分も保険料が増えることになるため、扶養家族が多ければ多いほど、任意継続の方が、費用を抑えられる可能性があります。

今後何年ほど休養するのかといったこともふまえ、料金シミュレーションをしたうえで決定しましょう。

保険料は収入や扶養家族・居住地によって異なる

退職後すぐに仕事に就かない場合、以前の勤務先の健康保険を任意継続する方法と、国民健康保険に加入する方法があります。どちらの方法も、収入や居住地・扶養家族などによって額が異なるため、退職前にそれぞれシミュレーションして検討しましょう。

なお、任意継続や国民健康保険のように自身が保険に加入する以外にも、家族の扶養に入る方法もあります。扶養に入るためには、健康保険組合の設定した条件を満たす必要があるため、家族の勤務先に確認してみるとよいでしょう。

出典

八尾市 社会保険(健康保険)の任意継続制度
[全国健康保険協会
保険料についてQ1:任意継続の保険料はどのようになりますか?](https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650/r321/#q1)
全国健康保険協会(協会けんぽ)にご加入中の皆様へ 任意継続のご案内Q2 国民健康保険と協会けんぽの任意継続では、どちらの保険料が安いですか?.pdf)
[静岡市
国民健康保険料の試算 2総所得金額等の対象年及び見方について(2)見方について(1)所得が給与所得のみで給与支払者が1者のみの場合](https://www.city.shizuoka.lg.jp/s8435/s000655.html)
令和6年度国民健康保険料について保険料の計算(1)保険料の計算方法
渋谷区 保険料の計算保険料率など 令和6年度(令和6年4月から令和7年3月まで)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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