松本まりか、原作者からの手紙に号泣「あまりに自分は未熟」 主演作に思い吐露「女優やめようと思った」

公開記念舞台あいさつに登壇した松本まりか【写真:ENCOUNT編集部】

福士蒼汰とのW主演映画『湖の女たち』の公開記念舞台あいさつに登壇

俳優の松本まりかが18日、都内で行われた、福士蒼汰とのダブル主演映画『湖の女たち』の公開記念舞台あいさつに登壇した。同作にまつわる思いを吐露した。

同作は、吉田修一氏の同名小説を、映画『MOTHER マザー』(2020年)などの大森立嗣監督が脚本も務めて映画化。介護施設の殺人事件を発端とするヒューマン・ミステリー。福士は湖畔に建つ介護施設で100歳の老人が殺された事件を担当する若手刑事・濱中圭介役を、松本は圭介が捜査をする中で出会い、ゆがんだ思いに翻弄(ほんろう)される介護士・豊田佳代を演じた。

しっとり大人のドレス姿で登場した松本は、あいさつを求められると「私は、この映画を撮ってから、公開されるのが、すごく怖くもありました。とても個人的なことですけれど、一度も、SNSにまだかけていない作品です。それほど自分の中で、どう、この映画を、自分の中でどう表現したらいいのか、すごく難しいというか。でも、本当にこの作品は私にとって、人生の中で、とても大きな、大切な作品です」と説明した。

同作のクランクアップ時に「女優をやめようと思った」などとコメントし、心身ともに追い込まれた松本。上映後の舞台に立った心境を問われて「はぁ~」とため息。「きつかったです、この作品をやってるときは。本当に出口が見えないし、答えがわからない。監督は、ただそんな答えがわかってない私を、ただただひたすら信頼し続けてくれました。で、その信頼が非常にきつかった。だけど同時に、ここまで覚悟を持って役者を信用する、人を信用する。あとはこの作品を、クルーを信用するというのはどういうことか、私は体感しました」と述懐。

次いで「今、撮影終わって、1年半たって、監督があのとき自分に、覚悟を持って信じきるということを、私は今、やろうとしています。で、そんな中でようやくこの作品に関われた意味というのを、今、すごく日々実感している。本当に美しいものを美しいと思えるようになった、とか。信頼するってすごく美しいな、とか。なんか本当に、生きる上でとても大事なことを、この映画から私は教えてもらいました」と語った。

会場では、吉田氏の手紙もサプライズで代読された。すると松本は「本当の正直な話をすると、(この作品を)受けた、ということ自体、非常に罪深いことをしてしまったな、と思っていました」と告白。「やっぱり自分には、正直やりきれない。この作品を、この役を体現するには、あまりに自分は未熟だと思いました。人間性も芝居も」と語りながら号泣。

それでも「大森監督の作品で、吉田さんの作品で、どうしてもやりたかった。本当に自分のただただ、自分にとって必要な映画だった。自分がこの作品を背負って、体現して……自分がやっちゃいけないとは思っていたけど、自分の欲求だけでやりたいと思ってやってしまった。撮り終わってからもすごく罪深いことをしたと思った。その後に試写で吉田さんから、こういったお言葉をいただいたときに、さらにその罪深さが増したと思った。でも吉田さんがそう思ってくださったのは救いでした。(手紙の)今のお言葉からも、自分が何かを表現する立場にいる、自分が影響力を持つ仕事をしている自覚、安易に言葉にしないということを大事に生きていかないといけないなと思いました」と前を向いた。

さらに松本は「本当に初めて39年の人生で、初めて充実して楽しく、いきいきと生きることができています」と笑顔を見せた。

舞台あいさつには、三田佳子、浅野忠信、大森監督も出席した。ENCOUNT編集部

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