山口・萩市に国内最古のピアノ 英国製、シーボルト贈る

熊谷美術館に残る、シーボルトから贈られたピアノ。右は江口伊織館長=4月、山口県萩市

 鎖国下の江戸時代、日本に近代医学を広めたドイツ人医師シーボルトが山口県萩市の商人に贈った英国製ピアノが熊谷美術館(同市)に残っている。国内に現存する最古のピアノといわれ、4月に同市の文化財に指定された。英国のウィリアムロルフ・アンド・サンズのスクエアピアノ(1819年製)で200年以上経過しているが保存状態が良く、同館は「戦時中、空襲を受けなかったことなどの幸運に守られた」と話す。

 シーボルトは23年、医師として長崎・出島のオランダ商館に赴任。萩市によると、その際、数台のピアノを持ち込んだとされる。現存するのは交流があった萩藩御用商人の熊谷五右衛門義比に贈ったこの1台だけだ。

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