「紀伊半島を生かそう」 熱中小学校で北村元三重県知事、和歌山・上富田

紀州くちくまの熱中小学校で、講義する北川正恭元三重県知事(和歌山県上富田町岩田で)

 人材育成や交流人口増加などを目指す大人の学びや「紀州くちくまの熱中小学校」は11日、和歌山県上富田町岩田の岩田公民館でオープンスクールを開いた。講師の元三重県知事で早稲田大学名誉教授の北川正恭さん(79)は「民でできることは民でやり、もう一度紀伊半島を生かそう」と呼びかけた。

 熱中小学校は一般社団法人「紀州くちくまの未来創造機構」が運営している。この日は2024年前期の2回目の授業で、オープンスクールとして生徒以外の一般参加も受け付け、さまざまな職種の約60人が参加した。

 講義で北川さんは、戦後の歴史変遷や使命について語った。国会議員や知事時代には政治改革、地方分権の推進、検証可能な公約「マニュフェスト」の普及などに努めてきたことを説明。地方から国を変えることの重要性を強調し「地方議員は、民の声を聴いて行政に反映させるのが役割」などと訴えた。

 さらに「いま、大きな転換点にある。官ができること、民ができることを、互いに情報公開してやっていかないと紀伊半島に明日はない。苦労はあるが、誰かがやらないと新しい地平線は開けない。もう一度、紀伊半島を生かそうと、光を当てることが皆さんの使命だ」と、熱中小学校の取り組みに期待した。

 この日は、楽天大学学長で、組織づくりに関する事業などを手がける仲山進也さん(50)の講義もあった。仲山さんは、組織で働く人材について、組織にいながら自由なネコ(自分に忠実)と、組織の中央を志向するイヌ(組織に忠実)など、動物に例えて説明。

 カオスな時代の中で、個を生かす組織をつくるには、どれが良いというのではなく、イヌもネコもそれぞれのタイプが健やかな状態で、「役割分担が良いね」という共通認識をつくることが重要になると語った。

 働き方のステージについて、最初はとにかくできることを増やす、次に強みに集中する、さらに磨き上げた強みに別の強みを掛け合わせるといった段階があるとの考えを示した。

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