弁慶パトロール隊、巡回200回 「見せる活動」で犯罪抑止、和歌山・田辺市の自主防災

JR紀伊田辺駅前周辺を巡回する弁慶パトロール隊。手前左は浅山勉隊長(和歌山県田辺市湊で)

 和歌山県田辺市の自主防犯団体「弁慶パトロール隊」によるJR紀伊田辺駅周辺のパトロールが、25年前の隊の発足から通算で200回に達した。隊員たちの「姿を見せる」活動が犯罪抑止につながっている。

 弁慶パトロール隊は、1999年に前身の「田辺駅前クリーン連絡会」が発足し、2005年に名称を「弁慶パトロール隊」に変えた。ほぼ月1回の定期パトロールとして夜間、同駅前を中心に飲食店街などを見回り、駐輪場に止めている自転車やバイクに施錠を促す札を付けるなどしている。田辺署や他の団体が実施する万引防止や自転車の鍵かけの街頭啓発にも参加している。

 隊員は現在50~80代の17人おり、3班で活動している。発足時から参加している浅山勉隊長(81)は「逮捕までの効力は持たないが、姿を見せる活動は犯罪抑止につながっている」と手応えを語る。

 公序良俗に反する内容が書かれたチラシが街中で多く配られていた時代、パトロールの日はチラシを見ないと言われるほどの効果があった。近年では、駐輪場で無施錠の自転車が減少傾向にあるという。

 200回目の定期パトロールは10日夜にあり、浅山隊長ら隊員10人と田辺署員らが参加した。駅にある弁慶像の前で浅山隊長が「皆さんの協力のおかげでここまで続けることができた」とあいさつし、商店街や飲食店街を歩いた。田辺駅前駐輪場では、鍵のかかっていない自転車などに施錠を促す札を付けた。

 隊の結成当初は30人で5班だったのと比べると、隊員は減少し、高齢化している。浅山隊長は「健康な限りは続け、若い人にも引き継いでいきたい。ボランティアで参加してくれる人は少なくなっているが、地域のために活躍したいという思いがある人は大歓迎」と話した。

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