区民体育大会、参加者減少で開催見送りや時短も 福井県福井市、各地区で続く試行錯誤

福井県福井市内各地区の先陣を切って行われた旭地区の区民体育大会=5月12日、旭小学校

 福井県福井市内各地区恒例の区民体育大会が今年もシーズンを迎えている。今年は、新型コロナウイルス禍の中断を経て再開した昨年より多い全49地区中41地区が年内に開催を予定している。世代を超えて地域の絆を強める一大イベントだが、運営の担い手減少や少子高齢化などで開催を見送る地区のほかにも、時間を短くする地区や、誰でも楽しめるレクリエーション型の大会に変えて実施するケースもみられる。各地区で試行錯誤が続いている。

 ■感染症対策求めず

 今年の区民体育大会は、春を中心に一部は秋に実施される。今月12日に開いた旭地区を皮切りに、19日は23地区、26日には10地区が予定している。昨年は当初38地区が予定していたが、開催は35地区だった。市教委は今年2月、本年度の大会運営の注意事項などを各地区に通知。昨年記載していた感染症対策に関する記述を削除し、新たに受動喫煙防止や熱中症対策を盛り込んだ。

 春山地区は5年ぶりにほぼ従来の形で再開する。昨年は新型コロナの感染が完全に終息していないことを心配する住民が多いため実施を見送ったが、地域の交流を深める大会の意義を再認識し、再開を求める声が高まったという。

 順化地区は昨年と同様に終了時間を早め、午前中のみで行う。昨年の大会後の住民アンケートでは、子育て世帯を中心に半日開催が好評だったという。体育振興会の松尾輝一会長(54)は「元の形に戻したい思いはあるが、住民に楽しんでもらえるのが一番。柔軟にやっていきたい」と話す。一方で「コロナ禍の空白期間に、運営を経験した担い手が減り、ノウハウをうまく引き継げなかったり、参加意識が薄れた部分もある。徐々に取り戻していきたい」という。

 市によると、複数の地区が時間を短縮して実施する。

 ■競技成り立たず

 「若い世代の参加が年々少なくなり、リレーや綱引きなどの競技が成り立たなくなってきていた」と話すのは社南地区体育振興会の足田尚代理事長(60)。同地区では幅広い世代の交流機会を維持しようと6月2日に「城山登山」、秋には「モルック大会」を区民体育大会と位置付けて行う。足田理事長は「住民が希望すれば従来の体育大会に戻すことも考えるが、時代にそぐわなくなってきているのでは」とみる。

 美山地区は昨年に引き続き中止を決めた。少子高齢化が進み、大会の運営や競技の参加者を集めることが困難になったためだ。同地区内の6地域のうち3地域で独自に運動会を開催していることも理由としている。体育振興会の担当者は「このままでは復活は難しい」と吐露する。

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 安居地区では区民体育大会の実施は見送ったが、代わりに防災訓練を新たに開き、地域のつながり維持を図る。

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