女子エース・宮田笙子が3連覇でパリ切符! 杉原愛子は執念の演技見せるも、3大会連続の五輪出場叶わず【体操・NHK杯】

オリンピックに臨む体操女子の日本代表5人が決定した。

今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた体操のNHK杯が5月17日、群馬・高崎アリーナで行なわれ、女子個人総合決勝は宮田笙子が合計217.162点をマークして大会3連覇。4月の全日本選手権を制した女王がパリ五輪の代表入りを決めた。全日本の得点を持ち越して争われた今大会は宮田を含め4位以内に入った岸里奈(2位)、岡村真(3位)、中村遥香(4位)が同五輪の代表権を獲得。団体総合で得点に貢献できる「チーム貢献度」での1人には、9位の牛奥小羽が選ばれ、昨秋現役復帰を果たした杉原愛子は3大会連続の五輪出場は叶わなかった。

体操女子のエースに成長した宮田が華麗な演技を魅せた。最初の跳馬を14.300点の高得点でいきなりトップに立つと、2つ目の段違い平行棒では13.733点。全日本で2位になった16歳の岸と、わずか0.033点差の僅差で首位をキープする。終盤の平均台、そして最後のゆかもミスの少ない高い演技でバッチリ決め、五輪切符を自力で手繰り寄せた。

初の大舞台を目指す成長著しい岸は跳馬で宮田と同得点で首位に立つ好スタートを見せ、段違い平行棒でも高い得点で追走。しかし、3つ目の平均台で序盤バランスを崩し、大きなマイナス点に。ゆかでは高さと幅のある演技で杉原と並ぶ13.366点の意地を見せて、全日本と同じ2位でフィニッシュ。再び宮田に後塵を拝したが、現役高校生が初の五輪出場を決めると、満面の笑みが弾けた。
故障を抱え、万全のコンディションでない中で3連覇を収めた宮田は「もっと納得できる演技したかったけど、パリでは思い切った演技をしたい。後半の種目は(怪我の)痛みもあって練習してきたのに不安もあったけど、怪我のせいにできなかった」と、気迫で乗り切ったと強調。「今年はいい年にしたい。(団体戦では)みんなから信頼されるいい演技がしたい」と、パリへの意気込みを語った。

一方で16年リオ、21年東京大会に続き五輪切符を目指した杉原愛子は段違い平行棒で初日と同じ落下するミスがあったものの、4種目めの平均台で2位となる13.666点の会心演技。着地をバチッと決めると、客席に向かって両手で渾身のガッツポーズが飛び出した。さらに、得意のゆかでは岸と並ぶ13.366点のトップタイ。充実した表情で競技を終えたが、惜しくもあと一歩届かなかった。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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