「命まで取られる訳じゃない」 岡田晃平を支える究極の思考法

ツアー自己ベスト「62」で4位に浮上(撮影/奥田泰也)

◇国内男子◇関西オープン 3日目(18日)◇名神八日市カントリー倶楽部(滋賀)◇6869yd(パー70)◇晴れ(観衆2273人)

ムービングデーにツアー自己ベスト「62」を出して、ツアールーキーが21位から4位に浮上した。周りから見れば、会心のラウンド。岡田晃平本人も「昨日まではボギー、ダボがあって伸びなかったけど、今日は違ったんで」と、1イーグル7バーディ、1ボギーのラウンドに及第点を与えたが、最後にボソッとこぼした。

「…いいゴルフとは言えないけど」

高知・明徳義塾高、東北福祉大という松山英樹と同じルートをたどってきた。2022年「日本アマ」は大学の1年先輩、蝉川泰果を抑えて優勝。昨年の最終QTで9位になり、プロ1年目の今季からツアーに参戦する。そんなホープにも悩みはある。「いつも全般的にビビってるんです。どんな状況でも普通にしたいのに。それができる人が松山さん、金谷さん」という。

「クラブがきれいに入りすぎて」生まれたチップインもあった(撮影/奥田泰也)

前日まで予選2日間、ティショットがちょっと曲がって、少しだけラフに入ったりした。大きなミスには至らなくても、腹を決めて振り切れないもどかしさ。それでも、この日は上出来だろう。

ピン奥に突っ込みすぎる悪癖は出ず、下りのアプローチを1度も残さなかった。14番のイーグルは力強いドライバーショットでフロントエッジ前15ydまで運び、60度のウェッジでチップインを決めた。「本当は転がすイメージだったけど、(クラブが)きれいに入りすぎて、スピンでカップに入りました」。“きれいに入りすぎた”のは、気持ちよく振れた結果だろう。

プロになって、考え方が変わった。「失敗しても命を取られる訳じゃないので」。アマチュア時代は試合が少なく、ミスを取り戻す機会が少なかった。しかし、ツアープロなら翌週、翌々週に挽回の機会が巡ってくる。「だからといって、甘えが出たらダメですけど、一方で思い切ってやりやすいというか」

ミスを恐れぬ思考法でツアー初優勝を目指す(撮影/奥田泰也)

中学から大学まで10年間はずっと寮生活。現在は都内で一人住まい。「24時間、友達と一緒に暮らしてたから」と社会人1年生の寂しさもある22歳に、プロ転向ツアー3試合目で初優勝のチャンスがやってきた。

首位と2打差4位で迎える最終日。「ここまで来たら、優勝したいです。でも、勝てなくても、また次の試合がある。ただ、それに甘えないよう、一打一打が成長につながるように頑張ります」。岡田晃平流、究極の思考法で勝負をかける。(滋賀県東近江市/加藤裕一)

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