「つばさの党」強制捜査、代表らの逮捕…無風状態3選がほぼ確定の小池百合子知事

4月の衆院東京15区補欠選挙で、他候補らの選挙運動を妨害したとして、警視庁捜査2課は13日、公職選挙法違反(自由妨害)の疑いで政治団体「つばさの党」の都内にある事務所など関係先3カ所を家宅捜索したことを各メディアが報じた。

報道をまとめると、つばさの党代表の黒川敦彦氏、東京15区補選で落選した党幹事長の根本良輔氏、党運動員の3人は選挙運動の期間中、拡声器などを使って大音量で他陣営の演説を妨害したり、選挙カーを長時間追いかけたりして選挙運動を妨害した疑いがもたれている。

告示日の4月16日にJR亀戸駅(東京都江東区)前で乙武洋匡氏陣営の演説を妨害したとして、警視庁が2日後の同18日、黒川氏や根本氏ら3人を自由妨害違反で警告。つばさの党は警告後の選挙期間中も妨害行為を繰り返しており、警視庁は強制捜査に踏み切った。また他にも複数の陣営からつばさの党による選挙妨害の訴えがあり、警視庁は順次、被害届を受理しているという。そして17日には代表ら3人が、ほかの候補者の街頭演説を妨害した疑いで警視庁に逮捕された。

「そもそも候補者を出した政治団体を、自由妨害容疑で強制捜査するのは異例で、さらに都内同党の事務所には、混乱が起きた場合に備えて機動隊を投入するという厳戒態勢。公職選挙法(公選法)では、聴衆などが選挙活動を妨害した場合は違反に当たるが、つばさの党は『選挙妨害をしたつもりはない』と主張。候補者が妨害行為とまでは言わないまでも『主張を述べた』場合はグレーな部分もあるだろう。ただ、これにより法改正が議論され始めた。通常の選挙戦なら家宅捜索するまでには至らなかった可能性もあるが、つばさの党は乙武氏の応援に訪れた小池百合子都知事の演説も妨害。警視庁は都知事の管轄下に置かれるので、都知事選挙(2024年6月20日告示、7月7日投開票)を前に警視庁が動いたと見る向きもある」(全国紙政治部記者)

というのも、つばさの党の黒川氏と根本氏はそろって都知事選への出馬を宣言していた。一部メディアによると、家宅捜索にも懲りず、黒川氏は13日の夕方、都内にある小池知事の自宅で十数人の支持者を連れて“逆ギレ街頭演説”を敢行。小池氏の自宅前は約50人のマスコミや警察官が集まり、大混乱が巻き起こったという。

「すっかり“タガ”が外れてしまった黒川氏だが、こうなっては根本氏とそろって公選法違反での逮捕は時間の問題。そうなると、選挙権も被選挙権も停止され、都知事選には出馬できない。一方の小池知事といえば、『文藝春秋』5月号で報じられたエジプト・カイロ大学の首席卒業をめぐる経歴詐称疑惑がいまだクリアにならず。ただ、都庁記者クラブから外されたくないから、大手メディアはこの問題を深く取り上げようとはしない。まあ、“政界渡り鳥”とも揶揄されても動じない鋼のメンタルの持ち主・小池氏のこと、現状、ほかに有力な候補者が見当たらず、このままだと3選がほぼ確実だろう。目下の不安要素を“排除”できれば無風の選挙戦になりそうだ」(都政担当記者)

ついに逮捕されてしまった黒川氏らだが、法改正含めた今後の展開に注目が集まる。

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