「まったく滅入っていない」泉房穂氏がSNS再開「逆に政権交代に向かっている」心境語る

叩かれるのは「産みの苦しみ」という泉房穂氏

誤解や思い込みに基づく批判が急増しているとして、5月12日に「SNS小休止」宣言をした前明石市長の泉房穂氏。当初、18日の本格再開を約していたが、その前日、テレビ出演の告知をもって再開を表明した。いまの心境を直撃した。

「私はまったく滅入っていません。四方八方から攻撃されていますが、ぐるっと1周、回ったなという感じ。

もともと自民の熱烈支持者が、私を“立憲共産党”と揶揄する一方、立憲と共産の原理主義者たちは、私のことを維新とたたくんですね。ところが、維新は私に対して『あいつは積極財政で万博批判派のれいわじゃないか』と批判し、そのれいわは『あいつは憲法改正派の自民と国民民主と一緒だ』と言ってくる。なかなかおもしろい状況でもあるし、さてどうしたものかなっていうのが、いまです」

政権交代を目指して「大同団結」を提唱する泉氏に「だまされるな」という声も上がる。

「私は前向きな人間なので、逆に時代は政権交代に向かっていると感じています。まさに産みの苦しみというか、次に乗り越えるべきハードルが来たととらえている。一部、心配している方もいますが、私は何も変わらない。むしろ、いよいよ波が来たと思っています。

じつは、私への批判の半分は当たっています。でも、全部は当たっていない。私はどこにも依拠せずに、既存の右・左、保守・革新の座標軸を90度変えて『国民の味方チームvs.古い政治チーム』という構図を提示しようとしているから、それに対して、座標軸にこだわり発想の転換ができていない方々が抵抗感を示しておられると。ただもう世論は動き出していて、その流れはおそらく止まらないので、『国民の味方チーム』の結成にたどり着くと信じて疑っていません。

Xの『小休止』前の最後のポストでは、孟子の格言『天地人』を引用しました。いま、『天の時』とは政権交代の機運が盛り上がっている状態。ただ、それだけではダメで、やっぱり『地の利』の選挙制度が第一関門。日本の小選挙区は、基本的に割れたら勝てない仕組みですから、大同団結が不可欠。

そして大同団結のためには、政党の枠組みを超えて連携する必要がある。それが『人の和』であり、孟子が言うようにもっとも重要な部分だけど、そこがいちばんしんどい。それでも、『薩長土肥』の4つくらいの連携は見えてきたという感触を得ています」

2023年4月30日に明石市長を退任し、直後の5月から「FLASH」でニュース解説の連載を開始。タブーをもうけず権力の急所に斬りこんできたシリーズを、ちょうど1年が経ったところで、書籍として刊行した。タイトルはズバリ、『政権交代、始まる』。

「1年前は、広島サミットなどがあって岸田内閣の支持率が上がり、当面、現状維持の空気が漂っていた。ひるがえっていま、世論は『自公の継続ノー』。3補選も自民は全敗。つまり、『古い政治』が負けたわけであり、国民は『新しい政治』を望んでいるということ。

ここで『サイレント・マジョリティ(物言わぬ大衆)』と『ノイジー・マイノリティ(声高な少数派)』がポイントになり、私をたたいているのは、基本的にノイジー・マイノリティ。つまり、政党というものに依拠する昔ながらの方々で、『既存組織』と言い換えられる。一方、サイレント・マジョリティである庶民は、私を支持してくれていると感じます。街の空気は、ぜんぜん悪くなっていませんから。『国民の味方チーム』結成の呼びかけをどんどん強めていくつもりです」

泉氏にとって政権交代は手段にすぎず、真の目的はあくまでも「国民のための政治」の実現。首長として有言実行で結果を出し続けた男の戦いは、ここでは終わらない。

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