研修生からツアーデビューした22歳 帯同キャディは左腕骨折の父

中谷樹は左腕骨折の父・幸男さんをキャディにツアーデビュー(撮影/奥田泰也)

◇国内男子◇関西オープン 3日目(18日)◇名神八日市カントリー倶楽部(滋賀)◇6869yd(パー70)◇晴れ(観衆2273人)

生まれて初めてのツアー競技で予選を通過し、ムービングデーに挑んだ。中谷樹(なかたに・たつき)は「初日はそうでもなかったんですが、2日目はしびれました」。初日パープレー「70」で31位、2日目は「71」で36位。この日は5バーディ、2ボギーで初のアンダーパー「67」をマークした。

帯同キャディを務めるのは、中谷がゴルフを始めるきっかけとなった父・幸男さん。ギプスで固めた左腕。約1カ月前、塗装工で仕事中に脚立から落ちた。「ひじは固めてあるからいいんですが、肋骨も2本やってまして」。顔を少ししかめたが、喜びがにじむ。

岡山市出身の中谷は高校ゴルフの強豪・香川西高出身。同級生4人のうち、就職した1人を除き、3人はプロを目指し進学した。「僕も進学の話はいただいて迷ったんですけど、勉強は好きじゃないし…」。よりゴルフに専念できる環境を求め、研修生に。知人から山口に拠点を置くツアー1勝の広田悟プロを紹介され、下関ゴールデンゴルフクラブにお世話になった。

10位以内なら地元・岡山開催の「ミズノオープン」に“凱旋”だ(撮影/奥田泰也)

午前中に雑務をこなし、給料をもらう。コース近くのアパートを借り、自炊しながら一人暮らし。昨年まで3度挑んだQTはまだ最終まで進めず、今回は大会の予選会を勝ち上がって、初のツアー出場を決めた。

今大会で現在26位にいる兵庫・大手前大のアマチュア多田旺生は香川西高の同級生。女子ゴルフ界に比べ、大卒プロの成功者が多い男子ゴルフ界だが、中谷は自分の信じる道を進む。通算2アンダーの21位で迎える最終日。チャージしてトップ10入りすれば、来週は地元・岡山開催の「ミズノオープン」出場が待っている。(滋賀県東近江市/加藤裕一)

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