直近2試合6失点…FC東京が迎えた正念場、指揮官「考え過ぎて複雑にするべきではない」

FC東京のピーター・クラモフスキー監督【写真:徳原隆元】

クラモフスキー監督が横浜FM戦に向けコメント

FC東京は正念場を迎えている。J1リーグ第10節のアルビレックス新潟戦(3-1)から3連勝を飾ったFC東京。しかし第13節の柏レイソル戦では3-1とリードした展開から3-3に追い付かれると、前節の名古屋グランパス戦は1-3で敗れ、2試合未勝利となった。5月19日の第15節では、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)初制覇に王手をかけている横浜F・マリノスと対戦する。

自分たちがどういうサッカーを繰り広げるかを重視するピーター・クラモフスキー監督は、横浜FMについて「数週間後にはアジアチャンピオンになる相手です。すべての対戦相手をリスペクトしていますが、アジアチャンピオンを倒すことを楽しみにしています」と気合を入れる。

また「我々のフットボールをすることです。難しいゲームになるのは分かっています。相手は良いチームですし、すべての面で最大限を出せるようにならないといけません。相手の流れの時間帯もあると思いますが、そこでも自分たちがコントロールできるようにしないといけない。すべての要素で、自分たちの戦い方を出し、自分たちの意図をしっかり持ってプレーすること。そしてハードワークすること。それは自分たちが絶対にできることですから。勝ち点3に向けて戦うだけです」と、自分たちの姿勢を変えないことを強調した。

横浜FMのハリー・キューウェル監督とは、ほとんど接点がないというクラモフスキー監督は「彼も良い仕事をしていますし、素晴らしいクラブで良い機会をもらっていると思います。この試合は2人の若く、かっこいいオーストラリア人監督のストーリーではありません。あくまでFC東京対横浜F・マリノスだ」と言ってニヤリと笑い、着目するべきは横浜FMのクラブとしての取り組みだと続けた。

「ここ数年間でマリノスがやってきたことをリスペクトしています。2018年以降にアンジェ(・ポステコグルー)さんが作った基盤に、ケヴィン・マスカットさんが継続して、クラブはその方向性に進んでいます。信じてきたものに向かって力強く進み、その結果がアジア王者への道につながっています。クラブにいる人、スタッフ、選手、オーナー、全員が信じたものに進み、5、6年が経って2度リーグを制して、アジアチャンピオンに近づいています。世界的に見れば、アーセナルも同じようなことをミケル・アルテタ監督のもとやっていますし、マンチェスター・シティ、リバプールもそうです。彼らと同じように、マリノスも何かを信じてそこに向けて続けていっています。それはどのフットボールクラブにとっても教訓だと思いますし、私たちも、ここでやりたいと思っていることです」

リーグ最多の得点を挙げているFC東京だが、その一方で失点も多い。第8節の東京ヴェルディ戦(2-2)以降は、7試合連続で失点している。「失点については改善しないといけません。ただ、考え過ぎて複雑にするべきではありません。その部分は磨かないといけないですし、それができれば自分たちがなりたいチームに向かえるでしょう。改善すべき、重要なポイントです。今の失点は、相手に崩されたものではありません。そういった場面に対応できるようにならないといけません。自分たちにとって試合が難しくなりますし、試合のなかで前進できていると思います。そこは改善しないといけませんし、改善できれば、もっと点も取れるようになると思っています」と言及した。

実際、柏戦では自陣ゴール前でDF森重真人がボールロストし、カバーしたGK波多野豪の退場につながり、名古屋戦では先制点につながるPKを献上した。ボールを保持することを重視するチームにあって、森重は監督の狙いを体現しようとしていたとも言えるが、指揮官はどう捉えているのか。

「形の問題なのかというと、ノーです。もう少し上手く対応ができたか、こちらはイエスです。しかし、(名古屋戦で)PKになったのは五分五分の判定だったと思います。先にボールに触っていたと思うので。PKを取られてしまいましたが、そこで何もなかったのであれば、ここでも話になっていなかったでしょう。我々はチームの観点で、決まり事がどうかとか話しています。モリ(森重)も含めて、すべての選手が自分たちのやることをやり切り、成長を続けるだけです。もちろん結果は悔しいですが、チームとして誰も0-3になってもあきらめなかったです。勝ち点は取りたかったですし、0-3でもひっくりかえせると全員が信念を持って、あきらめずに戦っていました。その姿はサポーターも見てくれていると思いますし、彼らのためにすべてを出し、彼らの応援を受けて勝ち点3をとれるようにしたいと思います」

3試合ぶりの勝利を挙げて、上位争いに踏みとどまるか。3試合未勝利となり、順位を下げることになるのか。正念場となる横浜FM戦は、5月19日の15時にキックオフを迎える。(河合 拓 / Taku Kawai)

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