Qi アイアンを稲場智洋が試打「打ち込まなくても高さが出る」

真っすぐ飛ばせる「Qi」のアイアン 大谷似な豪快スイングコーチの評価は!?

ドライバーでやさしさの新世界基準“10K”を打ち出したテーラーメイド「Qi10」のアイアンシリーズ「Qi アイアン」。右へのミスを防ぎ、直進性を探求したデザインで、飛距離性能とかつてない直進性能を発揮するという。そんな同社が誇る真っすぐ飛ばせるアイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。顔は“控えめな大谷翔平”&スイングは豪快(HS50m/s)なゴルフテックコーチ・稲場智洋の評価は!?

「コンセプトがより明確に プッシュドローが打ちやすい」

ほとんど同じような軽いドローに ややつかまり気味な傾向

―率直な印象は?
「前作『ステルス アイアン』より少しトウ側に厚みが増し、さらに安心感が増した印象を受けます。ひと回りサイズが大きくなったことで、よりターゲットが明確になったのではないでしょうか。その半面、小ぶりなヘッドサイズに慣れている私には、ちょっと構えにくく感じられる。現在のマイクラブが8番~PWがテーラーメイド『P730 アイアン』、5~7番が『スリクソン Z-FORGED II アイアン』と操作性重視のものを使用しているため、形状から見慣れていないからだと思います。今の私の個人的な趣向とは違ったコンセプトを、明確に持たせ印象に感じます」

ボッテリとは言わないまでも厚みの好みは分かれそう

―見た目で気になるところはサイズ感のみ?
「上から見たときのトップラインの厚みと、グースの入り方も気になります。マッスルバックよりはもちろん大ぶりで、ボールを包み込むイメージは持てますが、ややつかまりすぎてしまう危険性も同時にイメージしてしまう…。左につかまるミスが多い人にはミスマッチですが、右に逃げてしまう弾道に悩まれている方には適した顔立ち。好き嫌いの見極めは前作よりしやすくなったと思います」

7番(ロフト:28度)。番手別ヘッド設計「FLTD CGデザイン」を採用

―ドロー・フェードの打ち分けは難しい?
「そうですね。ドローのイメージはすごく湧いて、ボールをつかまえにいったり、プッシュドロー(打ち出しは右に出て、左に戻ってくる球筋)気味の弾道は打ちやすいです。逆にフェードを打ち分けることは難しいと思いますが、かなり直進性が高いので、ミスヒットが多く打点ブレで悩むゴルファーにはお勧め。寛容性の高いやさしいモデルで、高性能な最新モデルを探している人は、候補に入れるべきでしょう。そもそも打ち出す方向を左右に打ち分けたい人は、ターゲット対象ではないと思います」

同社の定番テクノロジー「貫通型スピードポケット」を継承

―弾道は高すぎると感じる?
「うーん…でもかなり楽ですね。スピン量が3000~4000rpmと少なめだったので、これで弾道が高くなかったら、たぶんグリーンでは止まらないと思います。高さが出て落下角が大きいからこそ、狙った位置に止められる。高弾道こそ今作のメリットなのかなと思います。実戦的ではないですが、もし選ぶようなら、自分にはロングアイアンのみでの使用になるでしょうか。7番でおおむね200yd前後でしたが(平均211.8yd)、時には230yd出てしまう場面もあり、タテ距離のズレがスコアに直結するショートアイアンでの使用は厳しいですが、ロングアイアンとしてを入れるのはアリだと思います」

上:Diamana BLUE TM60、下:NSプロ 910GH

―純正シャフトの振り心地は?
「カーボン(Diamana BLUE TM60)もスチール(NSプロ 910GH)も、どちらもかなり軽量設定なので自分には合っていないというか、どちらも意図した動きにはならなかったです。ただ、両方を打ち比べると、カーボンのほうが全体が大きくしなって、ボールの上がり方が一段上に感じることが分かりました。ヘッド性能によるスピン量の少なさもあってか、カーボンで振ったときのほうが距離が10ydほどプラスに出るイメージ。購入しようと考えている人は、弾道の違いを(動画で)見て参考にしてほしいと思います」

「UT代わりにロングアイアンのみ、5I単品使用もお勧め」(稲場)

―どのような人向き?
「打ち込みすぎずにフラットに振っていける人。また、ハンドファーストに打てない、フリップ(左ひじが引けた手首の形)が入ってしまう人に、すごく恩恵を与えるクラブだと思います。ボールが楽に上がってくれるので、ボールをすくって距離をロスしたり、弾道が常に低くて悩んでいるゴルファーでも無理して打ち込む必要がない。スイングを改善してくれる助けにもなってくれる。レッスンを重ねてもなかなか飛距離が出ず、弾道も上がらないことで悩んでいる人は、クラブを替えることもひとつの近道かもしれません」

「自分にはマッチしないけど…」寛容性重視の性格【総合評価3.9点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】3.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:カーボン Diamana BLUE TM60(硬さS)、スチール NSプロ 910GH(硬さS)/―820GH(硬さR)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン