「新型iPad」円安で高額化、最大50万円超も それでも日本のユーザーは飛びつくのか

米アップルのタブレット端末「iPad」シリーズの新型モデルが発表された。最新機種「iPad Air」「iPad Pro」の価格は、円安の影響で前モデルより値上がりし、SNSでは購入をためらう声が少なくない。

だが、アップルに詳しい専門家は、少し違った見方をする。高額になっても一定のユーザーのニーズはあるという。一方、超高性能でなくても構わない層に訴求する、多少安価なモデルの登場にも言及した。

「大画面」に選択肢

最新モデル「iPad Air」(11インチ)と前モデル(10.9インチ)、それぞれ256GBの価格を比較した。新型は、Wi-Fiモデルが11万4800円、Wi-Fi+Cellularモデルが14万800円。前世代型は、それぞれ9万2800円、11万800円だ。なお前世代型の価格は、複数メディアの報道を参照した。

Wi-Fiモデルは2万2000円、Wi-Fi+Cellularモデルは3万円上がったことになる。さらに今回、「Pro」の購入画面で最高額のものを選ぶと最終的に50万円を超える。

情報経営イノベーション専門職大学の専任教員で、ジャーナリストの松村太郎氏に取材した。「確かに価格は上昇していますが、そこ(Proの性能)に価値を見いだして選択するクリエイターなどのユーザーは、これまで通り存在すると思います」と指摘する。Proは、本格的なコンテンツ制作を行うクリエイターのニーズに応えるために最高性能を追求したモデルだからだ。

また、松村氏は新型モデル「iPad Air」13インチの登場にも着目する。大画面はほしいがProの性能はいらないというニーズにこたえ、最大で9万円安い選択肢を提供しているという。

これまでは大画面を購入条件にした場合、「iPad Pro」13インチを選ばざるをえない環境だった。「iPad Air」13インチの登場で、「たとえばアートを学ぶ学生やマンガを描いている学生にとって、大画面モデルの価格の大幅な下落は、注目されるのではないでしょうか」。

「iPad Air」に低めの為替レート設定

松村氏によれば、アップルは日本の消費者に有利なレートを新型「iPad Air」に適用しているとも説明する。Airの価格上昇を和らげるため、1ドル150円台を切るレートを設定した。消費税抜きの価格で計算すると、Airの11インチは149.95円、13インチは146.55円。そのほかの機種は150円を超えている。

松村氏は、「『できるだけ安く提供したい』というアップルの日本市場に対する配慮がうかがえます」と分析する。

とはいえ、価格上昇によって、iPad Proを検討するユーザーがAirを、Airを検討するユーザーが第10世代iPadを、それぞれ選ぶかもしれない。第10世代iPadは、日本では1万円値下げされ、より注目が高まるのではないかと同氏は指摘した。

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