ファイナルラップの大逆転劇。ウイリアムズ育成コラピントが初優勝果たす/FIA F2第4戦レース1

 5月18日、2024年FIA F2第4戦イモラのスプリントレース(決勝レース1)が行われ、フランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)がFIA F2初優勝を飾った。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は13位となった。

 イタリアのアウトードロモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(イモラ・サーキット)で迎えた第4戦。スプリントレースのグリッドは、17日に行われた予選のトップ10がリバースグリッドで決定され、10番手タイムを記録したアムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)がポールシッターとなった。

 気温24度、路面温度48度というコンディションのなか、日本時間21時22分(現地時間14時22分)開始のフォーメーションラップを経て、タイヤ交換義務のない25周のスプリントレースはスタートを迎えた。

 フロントロウスタートのコラピントがわずかに出遅れるなか、3番グリッドスタートのポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)が抜群の蹴り出しを見せトップに浮上。2番手にコルデールが続き、ハイテック勢がワンツーとなる。

2024年FIA F2第4戦イモラ スプリントレースのスタート

 しかし、トップ2台がターン2(タンブレロひとつめ)を迎えようかというタイミングで、4番手スタートのロマン・スタネ(トライデント)と7番手スタートのアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)の2台の接触に起因する多重クラッシュが発生する。

 弾け飛んだハジャルのマシンは白煙を上げながらデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)に接触。さらにジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)、エンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)らも混乱のあおりを受けてクラッシュとなり、一気に5台がリタイアとなった。

 これでセーフティカー(SC)導入となり、レースは6周目にリスタートを迎えた。リスタート時点での上位勢は、アーロン、コルデール、コラピント、ゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)、オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)、ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)となる一方、宮田は15番手で先行するビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)の背中を追う。

 そんななか、6周目のターン18でコルデールがコースオフを喫し、コラピントが2番手に浮上する。この時点でアーロンとのギャップは1.7秒とDRSは使えない状況だったが、コラピントは着々とアーロンとのギャップを縮めにかかる。

 一方、ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がスタート手順違反で10秒のタイムペナルティを受けることとなりピットイン。これで宮田は14番手に浮上する。

2024年FIA F2第4戦イモラ フランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)

 レースも後半を迎えた15周目にコラピントがアーロンの背後につくが、アーロンの巧みなブロックライン、そしてペースコントロールもあり、コラピントも簡単には勝負に出ず、仕掛けるタイミングを計る。

 各車ほぼ同じペースだったこともあり、序盤のアクシデント以降は、上位勢、中段勢もオーバーテイクはほぼ見られず、均衡状態が続いた。そんななかで動きを見せたのはポイントリーダーのマローニだった。

 レースも終盤を迎えた23周目、マローニがターン2でコルデールを攻略し3番手に浮上する。しかし、コルデール攻略に時間を要したこともあり、2番手コラピントとのギャップは6.2秒まで広がっていた。

 さらに、トップ争いにも動きがあった。まもなくファイナルラップの25周目に入ろうかという、24周目の最終ターン18でアーロンがわずかにコースオフ。これでコラピントが背中にぴたりと張り付くかたちとなると、コラピントは25周目のターン2飛び込みでアウト側からアーロンに仕掛けた。

 あわや接触かという強烈なサイド・バイ・サイドの末、コラピントがトップに浮上。そのままアルゼンチン出身のコラピントがトップチェッカーを受け、FIA F2初優勝を飾った。

 2番手にアーロン、3番手にマローニと、20歳の3名が表彰式に登壇した。なお、コラピントはFIA F2初表彰台が初優勝となる。今季4度目の表彰台登壇となったアーロンだったが、今回の表彰式では笑顔を見せることはなかった。一方、宮田はマルタンスの背中を追い続けたが、ポジションは変わらず14位となった。

※追記:レース後、7番手でチェッカーを受けたテイラー・バーナード(AIXレーシング)がフォーメーションラップ時に定められたスタートセットアップ手順を実行しなかったとして、FIA F2技術規則第1.6.1条、およびF2 2024システムユーザーマニュアル第10.15条に違反と判定され、失格となった。これにより宮田の順位は13位に繰り上がった。

 続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は5月19日の日本時間17時から、タイヤ交換義務を有する周回数35周、もしくは60分+1周で争われる。

■2024年FIA F2第4戦イモラ スプリントレース正式結果

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 12 F.コラピント MPモータースポーツ 41’43.964

2 17 P.アーロン ハイテック・パルスエイト 1.706

3 5 Z.マローニ ロダン・モータースポーツ 6.618

4 16 A.コルデール ハイテック・パルスエイト 8.173

5 3 O.ベアマン プレマ・レーシング 11.125

6 10 G.ボルトレート インビクタ・レーシング 11.589

7 22 R.フェルシュフォー トライデント 14.254

8 9 K.マイニ インビクタ・レーシング 16.330

9 2 Z.オサリバン ARTグランプリ 17.427

10 4 A.アントネッリ プレマ・レーシング 18.286

11 15 R.ヴィラゴメス ファン・アメルスフォールト・レーシング 18.960

12 1 V.マルタンス ARTグランプリ 19.396

13 6 宮田莉朋 ロダン・モータースポーツ 19.788

14 7 J.クロフォード ダムス・ルーカスオイル 20.089

15 8 J.コレア ダムス・ルーカスオイル 20.587

16 21 J.マルティ カンポス・レーシング 55.602

– 23 R.スタネ トライデント DNF

– 20 I.ハジャル カンポス・レーシング DNF

– 24 J.デュルクセン AIXレーシング DNF

– 14 E.フィッティパルディ ファン・アメルスフォールト・レーシング DNF

– 11 D.ハウガー MPモータースポーツ DNF

– 25 T.バーナード AIXレーシング DQ

・ファステストラップ:#12 フランコ・コラピント(MPモータースポーツ)1分30秒352(12/25)

2024年FIA F2第4戦イモラ スプリントレースを制したフランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)
2024年FIA F2第4戦イモラ ポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)
2024年FIA F2第4戦イモラ ゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)
2024年FIA F2第4戦イモラ スプリントレースを制したフランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)
2024年FIA F2第4戦イモラ スプリントレース表彰式

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