見分けがつかない「たぬきと猫」の赤ちゃんの比較写真 5~6月に発生しやすい「誤認保護」の注意喚起が話題

たぬきの赤ちゃんと子猫の比較写真がX上で話題になっています。

投稿したのは、Xユーザーの@Tanuki_Mumさん。

当ポストは2024年5月15日時点で3万4000件を超えるいいねを集めており、「こんなに似てるのか」「これは無理間違えちゃう」「初見の人に区別は無理だわ」と多くの反響が寄せられています。

記事後半ではたぬきの飼育に関連して、保護以外の目的でたぬきを飼育する際の罰則や罰金について説明します。

※投稿写真は【写真5枚】をご参照ください。
※今回紹介するポストは、投稿者様の許可を頂いております。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

たぬきの赤ちゃんと子猫を比較すると…

「この時期、側溝の中で子猫のような鳴き声の黒っぽい動物の赤ちゃんを見つけても 触らずちょっと待って下さい!それはたぬきの赤ちゃんかも知れません」というコメントとともに投稿されたのは、4枚の写真でした。

そこに収められていたのは、同じ体勢で撮影されたたぬきの赤ちゃんと子猫の比較写真。

たぬきの写真
猫の写真

毛色や大きさ、肉球のある足に長めの尻尾と、どこを見てもそっくりで驚きですね。さらに鳴き声まで似ているとは、猫と間違えてたぬきを保護してしまう人も多そうですが…。

@Tanuki_Mumさんは続けて「子猫と勘違いして 誤認保護してしまわないように注意しましょう 親たぬきは近くに居て戻ってきます!」と注意喚起。

たぬきの写真
猫の写真

人間が保護してしまうと親と引き離すことになる上、人間のにおいが付くと親が警戒して子育てを放棄してしまう可能性もあるんだとか。

保護したつもりがたぬきを不幸にしてしまっていた、なんてことにならないためにも保護する前にしっかり確認したいですね。

これからたぬきの出産シーズンに入るため注意喚起

投稿主の@Tanuki_Mumさんは、野生動物を救護して野生復帰させる「野生動物リハビリテーター」として活動しています。

Xアカウントでは、野生動物に関する正しい知識を広めて、野生動物に与える影響や問題に対する関心を高めてもらおうと、さまざまな情報を発信。とくに一緒に暮らすたぬきにまつわる投稿を多く行っています。

そんな@Tanuki_Mumさんに今回の投稿をしたきっかけを伺うと、「『たぬきを犬や猫と間違えて保護し、飼っていたけど、噛まれたから野に放した』という話を何度か耳にしたことがあります。しかし、人の手で育てられたたぬきは警戒心が薄く、交通事故に遭う危険性も高いため、野生に戻るのは難しいものです。たぬきも人も不幸にならないためにも、今からたぬきの出産シーズンになりますので、誤って保護しないように注意喚起したいと思い投稿しました」と話してくれました。

たぬきの出産は年に1回で、3〜4月が繁殖期、5〜6月に出産します。これからたぬきの赤ちゃんに出くわす可能性が高くなる時期なので、より一層注意したいですね。

たぬきの飼育について詳しく話を聞いた

現在4匹のたぬきを飼育しているという@Tanuki_Mumさんに、たぬきの飼育やしつけについて詳しくお話を伺いました。

――たぬきを飼育することになった理由を教えてください

野生動物救護の資格を得て、傷ついた動物の保護活動を行っており、警察の方、動物園関係者、保護団体、一般個人などから日常的に様々な生き物についての相談が寄せられます。

現在、私共の方で飼育しているたぬきたちは、親の育児放棄により産後すぐに保護され持ち込まれたものを人工哺育で育てました。

兄弟の中でも未熟児で虚弱体質であった個体や、骨格形成不全、視力薄弱など成長過程を見守る中で、野生での生存や仲間との暮らしが難しいと判断した個体を終生飼育することにしました。

――たぬきは犬のようにしつけなどは難しいのでしょうか

たぬきはとても臆病で警戒心の強い動物ですので、大きな声を出したり、叱る、叩くなどの行為は、攻撃されたという認識を持たせてしまいやすく、さらに攻撃的になったり、信頼関係を損ねる原因となり得ます。

動物の習性を利用したトレーニングは可能ですが、犬のような服従心はなく、野生動物ですので本能的な行動を人が都合よくしつけたり抑止することは難しいです。

例えばたぬきはタメ糞をする習性がありますのでトイレは同じ場所でしてくれますが、縄張りを主張するため至る所にオシッコをかけマーキングをする行為は止めることは出来ません。よく私は足や背中の上でマーキングされてしまいますが、愛情表現だと思って受け止めるようにしています(笑)

――今回の投稿の反響についてコメントをお願いします

もともと野生動物なのだから、手に負えなくなったら山に逃がしたら良いと考える方もいるかもしれませんが、一度人に飼われた動物が野生に戻るのは簡単ではありません。

野生動物のロードキルは年々増えていて、特にたぬきは年間約34万頭もが交通事故により命を落としていると報告されています。悲しい結末にならない為にも正しい知識を広めることで、野生動物に与える影響や問題に対する関心を高めてもらえれば、と思います。

この時期、側溝の中で子猫のような鳴き声の黒っぽい動物の赤ちゃんを見つけても 触らずちょっと待って下さい!
それはたぬきの赤ちゃんかも知れません。
子猫と勘違いして #誤認保護 してしまわないように注意しましょう⚠️
親たぬきは近くに居て戻ってきます!

▼たぬきの赤ちゃんと子猫 の見分け方⁇ pic.twitter.com/kRYFkmZhgl

— たぬきのお母さん (@Tanuki_Mum) May 1, 2024

愛らしいたぬきの写真やエピソードを投稿

ここからはたぬきの飼育について説明します。

たぬきは鳥獣保護管理法によって指定された動物で、捕獲や狩猟を行う場合は自治体に申請を行い許可を受ける必要があります。野生の成獣をそのまま飼育することもできません。しかし、たぬきが弱っている際には、保護をして一時的に飼育することは可能です。

鳥獣保護管理法により、許可なく捕獲した際の罰則は、懲役1年以下または100万円以下の罰金。違法に捕まえた野生鳥獣を飼育、販売、譲渡、譲受けた場合は、懲役6カ月以下または50万円以下の罰金を科されることも。

いかがだったでしょうか。今回は、Xで話題になっているたぬきの赤ちゃんと子猫の比較写真を紹介しました。

普段は動物プロダクション事業を行う「アニマルプランニング」の代表を務めている@Tanuki_Mumさん。

動物保護活動は個人で行っていることだそうで、Xアカウントでは活動の様子や一緒に暮らすたぬきのかわいらしい写真やエピソードがたくさん投稿されています。

たぬきの写真

野生動物にまつわるためになる話題も多いので、ぜひチェックしてみてくださいね。

参考資料

  • @Tanuki_Mum
  • アニマルプランニング
  • 静岡県「野生鳥獣の密猟は犯罪です!!」

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