一人ひとりを大切に/社会保険労務士・行政書士 あさぎ経営サポート 所長 八巻 俊道

2005年に社会保険労務士会に登録・入会し、数カ月の準備期間を経て、翌年1月1日に開業登録に変更した。登録時には20歳代後半だったが、早いもので来年は20周年、50歳が近付いており、「不惑」を過ぎて「知命」を迎える。

社会保険労務士の仕事について右も左も分からなかった私は、1号、2号業務といった書類作成・提出手続代行業務に携わる機会よりも、委託事業などの行政協力や県会が主催する相談会などを経て、自然と3号業務に従事する機会に恵まれた。

現在も、ハラスメントやメンタルヘルス対策の講師、顧問先事業場の安全パトロールへの同行、安全衛生委員会への参加、就業規則の見直しや賃金・退職金制度の改訂、労使トラブルの解消などの3号業務や労働災害、是正勧告、行政対応に従事することが多くなっている。

事務所運営においては、社会保険労務士制度創設50周年であった2018年に、1号、2号業務の造詣が深く、助成金申請にも精通している同期の社会保険労務士と事務所を合併した。その同期は特定社会保険労務士としてあっせん委員や調停委員を担っており、紛争解決手続代理業務(ADR代理業務)にも従事している。事務所の合併により、パートナーとしてお互いの強みを活かし合い、また弱みを補い合うことで事務所の価値を高め、個々で事務所を運営していたときよりもシナジーが発揮できているのではないかと思料する。弊所の理念は、「働いてもらう側と、働く側、それぞれの思いに応えることで、企業活動に参画し、活気溢れる社会の創造に貢献する」であり、「働くと幸せを『安心』でつなげる」を使命としている。

一昨年の社労士会セミナーにおいて、「『人を大切にする企業』づくり」というテーマで話をさせていただいた。少子高齢化による労働力不足が進展するなか、事業場対応においては、「多様な人材」の確保と「柔軟な働き方」を活用した経営がますます重要となる。

そのためには、従業員一人ひとりを大切にする職場にする(=適切な労務管理を行う)ことが大切だ。換言すれば、従業員にとって働きやすく働きがいのある魅力ある職場づくりと、研修会の実施、相談窓口の設置や就業規則の整備・適宜見直し、書面による雇用契約、労使協定の締結などにより、職場のトラブルを未然に防止するための制度構築が必要となっているといえよう。

ここに我われ社会保険労務士が、顧問先・関与先事業場などに、コミットメントする意義があるのではないだろうか。

社会保険労務士・行政書士 あさぎ経営サポート 所長 八巻 俊道【山梨】

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