カブス今永昇太が7回4安打7K無失点。無傷の6勝ならずも、メジャートップ防御率0.84の無双ピッチングに米感服「1913年以降で最も低い数字だ」

ゼロを刻み続ける日本人左腕の快投が止まらない。

現地5月18日、シカゴ・カブスの今永昇太が本拠地でのピッツバーグ・パイレーツ戦に先発。7回(88球)を投げて4安打7奪三振1四球無失点の好投を見せ、防御率は驚異の0.84をマークしたが、またも打線の援護が叶わず今季6勝目はお預けとなった。

カブスの”ドクター・ゼロ”は、この日も健在だった。今永は立ち上がりの先頭打者を四球で歩かせたが、以降は2つの空振りを奪うなど無失点。2回をわずか6球で終わらすと、3回も外野フライと内野ゴロ2つに仕留めた。

4回は簡単に2アウトを取った後、この試合初ヒットを献上。初めてランナーを許したが、ニック・ゴンザレスをスプリットで右飛。5回を三者凡退に抑え、6回もストライク先行のテンポの良いピッチングで凡打の山を築き、わずか2安打とパイレーツ打線を見事に封じる。

ところが、相手先発ベイリー・ファルターも素晴らしいピッチングで対抗。こちらはカブス打線を6回まで1安打1四球無失点。今永を上回る快投で、手に汗握る投手戦となる。

7回もマウンドに上がった今永はゴンザレスから6つ目の三振を奪ったが、2アウトから連続ヒットで一、二塁と初めて得点圏にランナーを許す。マイケル・テーラーと対峙した左腕はギアを一段階上げ、146キロの直球とスプリットで連続ファウルで追い込む。本拠地ファンから拍手の援護をもらうと、最後は外角低めのスプリットで空振り三振。最大のピンチを切り抜けた今永はマウンドで雄叫びを上げ、シカゴの観衆を大いに沸かせた。

なんとか日本人ルーキーの好投に応えたいカブス打線だったが、直後の攻撃も無得点。8回は2番手マーク・ライターJr.にマウンドを譲り、今永に勝敗は付かなかったが、防御率0.84は言わずもがなメジャー全体でトップ。先発投手として驚異的な数字をマークした。

なお、試合は9回裏に4番クリストファー・モレルが劇的なサヨナラ打を放ち、カブスが1対0で勝利を収めた。
ゼロを継続する日本人左腕に地元メディアは感服している。カブス専門メディア『Cubs Zone』は「ショウタ・イマナガは7イニングを投げ切り、ハイテンションだ!」と綴り、今永が最後の打者から渾身の三振を奪って吠えた熱いシーンを共有した。

MLB公式サイトによると「1913年以降、開幕投手以外で通算9試合での先発でイマナガが記録した防御率0.84は最も低い数字だ」と記し、メジャーの歴史に30歳のオールド・ルーキーが新たな1ページを刻んだと報告。米放送局『ESPN』の敏腕野球記者であるエンリケ・ロハス氏も、その情報を共有したうえで今永のスタッツを列挙。日本人左腕の無双っぷりに脱帽していた。

メジャーの歴史を塗り替えた今永。日本人ルーキーの快進撃は止まらない。

構成●THE DIGEST編集部

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