僅か10cmの平均台、真っ逆さまの「目線」に冷静さ レンズ越しに見た体操・岡村真の表現力の源

幅10センチの台の上で華麗な宙返りを披露した岡村真【写真:中戸川知世】

THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム

体操のパリ五輪代表最終選考会を兼ねたNHK杯第3日が18日、群馬県の高崎アリーナで行われた。女子個人総合3位でパリへの切符を掴んだ岡村真(相好体操クラブ)が「エレガンスウイング賞」を受賞。レンズ越しに見た平均台の演技に、輝く表現力の一端を感じた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

真っ白のレオタードをまとい、幅10センチの台の上で華麗に宙返り。頭が真っ逆さまになった瞬間も、脚は前後に180度、手は左右にピンと開いていた。見るものの視線を奪う演技の最中も、本人の目は平均台の方をじっと見つめていることが分かる。冷静さも、表現力に繋がることを感じさせた。

得意の平均台。出だしはふらつき落ち着かなかったが、終盤には本来の実力を発揮し、種目1位となる14.066点をマークして3位に浮上した。

両手両足の指先、体の端から端まで全ての神経に力がこもっているようだ。しかし、決して硬いわけではない。技や移動がスムーズに繋がっていた。レンズ越しに見ていた私も、岡村の作る一つ一つのポーズが美しく、目を惹かれた。

「大きいタンブリングの技は無いが、一つずつ丁寧に美しい体操を目標にしている。きっちりやってきたことが繋がった」。形の信念を貫き、パリ行きを決めた。

今大会で一番、優雅で美しい演技を見せた選手へ贈られるエレガンスウイング賞も受賞。「簡単にやってみせるところが平均台のかっこよさ。五輪では手足まで美しい体操で世界を魅力したい」。18歳は初の五輪代表。4年に一度の大舞台でも美しい演技を見せてほしい。

THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa

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