1億円稼ぐ「COO代行」業で成功するコツ あえて経営難の中小企業を支援

信國大輔さん(C)日刊ゲンダイ

【「もうけびと」に聞く金儲けの秘訣】

信國大輔さん
(株式会社びりかん)=後編

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COO代行という独自の職業で年商1億円以上を稼ぐ信國大輔さん。独立までの道のりを聞いた。

「大学卒業後、地方のシステム会社の営業マンとして働き始めたんですが、それなりに実績は出せたもののキャリアの頭打ち感があり、このままではまずいと危機感を抱きました。そこで転職したのが、当時球団買収などで世間を騒がせていたライブドアです。そこで奮起し、斬新な企画を打ち出してセミナー事業で成果を上げ、独立のきっかけをつかみました」

とはいえ、独立後はすぐに軌道に乗ったわけではない。

「当時は何でも屋的な仕事ばかりで、自分の強みがわからない状態でした。ある時、経営コンサルから勝ち馬に乗るのが大事だと言われたんです。つまり、有望な企業の支援に特化しろというアドバイス。でも私は負け戦を勝たせるのが面白いと反論したんです」

その言葉の裏にあったのは、自身の原体験だった。裕福とは言えない家庭で育ち、いじめにもあった。それでも周囲に支えられ、努力を重ねて大学に進学した。

「下克上の物語に心が震えるんです。だから経営が苦しい中小企業にこそ、可能性を感じたんですよね。トップの本気度を引き出し、社員のベクトルを一つにまとめる。そこに自分の腕の見せどころがあると思いました」

その思いを胸に、改めて経営難の中小企業支援に乗り出した。COO代行と名乗り始めたのもこの頃だという。しかし、そこで待っていたのは、理不尽とも思える現実だった。

「最初の頃は何を言っても社長は聞く耳を持たず、現場は不満を募らせるばかり。組織がバラバラで、このままでは会社が持たないと感じる日々の連続でした。それでも、負け戦を勝たせるには、徹底したコミュニケーションとともに戦う覚悟が不可欠。私は大好きな少年漫画の主人公になったつもりで、社長にも社員にも本気で向き合いました。この姿勢を貫いたことが、信頼を得るポイントだったと思います」

その甲斐あって、担当企業は次々と業績アップ。中には倒産寸前だった会社がV字回復を遂げるケースもあったという。

負け戦を勝たせる喜び

現在は、そのノウハウを次世代に伝える事業にも力を入れている。

「COO代行養成講座を毎週開催し、延べ100人以上が受講しています。独立前の会社員から、すでに独立している士業やコンサルタントの方まで、バックグラウンドはさまざま。でも皆さん、ご自身の強みに気づいていないんですよね。多様な経験を持っているのに、自分には専門性がないからダメだと思い込んでしまう。そこがむしろ強みなんだと気づかせるのが私の役割ですね」

最後に、もうけびとを目指す人に向けてメッセージをもらった。

「大切なのは、なりたい自分になる勇気を持つこと。普通のサラリーマン人生に疑問を感じているなら、あるいはすでに独立していて専門家として頭打ちを感じているなら、COO代行、自分のジェネラリスト化にチャレンジしてみてください。自らリーダーシップを発揮し、会社を変える面白さがそこにはあります。私のような生き方が選択肢の一つになれば幸いです」

(取材・文=いからしひろき)

▽信國大輔(のぶくに・だいすけ) 1977年、福岡県生まれ。佐賀大学卒業後、福岡のシステム会社に就職。その後上京し株式会社ライブドアに転職。独立後、株式会社びりかんを設立し、COO代行サービスを開始。100社以上の経営支援実績を持ち、その中で3社の上場に貢献。著書に「COO代行 最強のビジネス戦闘力を持つ職業」(ザメディアジョン)がある。

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