「COO代行」って何だ? ユニークな新職業で年商1億円以上稼ぐ人に聞いた

COOらしい貫禄の信國さん(C)日刊ゲンダイ

【「もうけびと」に聞く金儲けの秘訣】

信國大輔さん
(株式会社びりかん)

「COO代行」というユニークな職業を立ち上げ、年商1億円を超える稼ぎを得ている信國大輔さん。これまで100社以上のCOO代行実績を持ち、そのうち3社を上場に導いている。耳慣れないCOO代行とは一体どんな仕事なのか。(全2回の前編)

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「簡単に言うと、ベンチャー企業や中小企業に入り込み、経営者の右腕として会社経営全般を支援する仕事です。一般的な経営コンサルは外部の立場からアドバイスを行いますが、COO代行は内部の人間として経営課題の解決にあたります。マーケティングや営業、人事、財務など幅広い分野の知見を持ち、経営者と一緒に問題解決に取り組むのが特徴ですね」

信國さん自身の年商は1億円を超えるが、一般的にCOO代行はどれほど稼げる仕事なのか。

「報酬の相場は案件によってさまざまですが、月額の最低ラインは20万円ほど。コンスタントに関わる場合は、月60万から70万円ぐらいをいただくことが多いですね。単価を上げつつ、複数の企業を掛け持ちすることで年商1億円以上も可能になります」

COO代行が求められる背景には、ベンチャー企業や中小企業の人材不足がある。限られたリソースでも成果を出すには、経営者の構想を具現化し、組織を動かすCOO的存在が欠かせないが、そのような人材を見つけるのは容易ではないからだ。

「ベンチャー企業の場合、事業は成長しているのに社内体制が整っていないことが多い。人事制度や業務フローが未整備で、現場が回らないのです。そんな時にCOO代行として入り、人と組織のマネジメントを担うわけです」

一方、地方の中小企業の場合は、社長の右腕となる人材が社内にいないケースが少なくない。

「いわゆる番頭がいないんです。社長が営業も人事も財務も全部抱えている。そうすると、どうしても専門性が偏るし、客観的な助言をしてくれる相手もいない。社長の悩みを聞き、時に進言し、時に実務を引き取る。それがCOO代行の役割ですね」

IQとEQのバランスが取れている人が向いている

では、誰でもCOO代行になれるのだろうか。

「特別な資格や経歴は問われません。私自身、地方の国立大学出身で、若い頃は営業成績が芳しくなかった。そこから這い上がってきたので、どんな人でもCOO代行で活躍できると信じています。ただ適性としては、複数の専門分野の知識を持ち、論理的思考力と人心掌握力を兼ね備えていることが重要です。IQとEQのバランスが取れている人が向いていますね」

信國さんがCOO代行として成果を上げるために大切にしていることを聞いた。

「一つは全社最適の視点を持つこと。部分最適に陥らず、社長の立場に立って判断することです。その上で、社長の思いを社員に伝え、同じ目標に向かって組織を引っ張る。リーダーとしての振る舞いを心掛けています」

COO代行という新しい働き方は、現代のビジネスパーソンに新たな選択肢を提示しているといえる。

昨今はスペシャリストばかりがもてはやされているが、宴会部長と呼ばれるような社内調整が得意なゼネラリストも、成功のキャリアパスを描けるからだ。

そもそもなぜ信國さんはCOO代行という仕事を立ち上げたのか。背景には幼少期の家庭環境といじめ体験があった。 =つづく

(取材・文=いからしひろき)

▽信國大輔(のぶくに・だいすけ) 1977年、福岡県生まれ。佐賀大学卒業後、福岡のシステム会社に就職。その後上京し株式会社ライブドアに転職。独立後、株式会社びりかんを設立し、COO代行サービスを開始。100社以上の経営支援実績を持ち、その中で3社の上場に貢献。著書に「COO代行 最強のビジネス戦闘力を持つ職業」(ザメディアジョン)がある。

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