グリフィンはクリッパーズ初の永久欠番になるのか?本人は「断りはしないよ。でも自分が本当に値するかはわからない」<DUNKSHOOT>

5月17日(日本時間18日、日付は以下同)に公開された米メディア『FanDuel TV』の人気ポッドキャスト番組「Run It Back」へ、ブレイク・グリフィン(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)がゲストで出演した。

2009年のドラフト全体1位でクリッパーズから指名されたグリフィンは、1年目の2009-10シーズンはヒザのケガで全休。翌10-11シーズンに満を持してデビューを果たすと、平均22.5点、12.1リバウンド、3.8アシストをあげて新人王に輝いたほか、オールスターにも出場し、スラムダンク・コンテストでは“車超えダンク”を叩き込み、チャンピオンに輝いた。

クリッパーズは11-12シーズンに司令塔のクリス・ポール(現ゴールデンステイト・ウォリアーズ)が加入。ポールがビッグマンのグリフィン、ディアンドレ・ジョーダン(現デンバー・ナゲッツ)へ華麗なパスを送り、彼らが豪快なダンクやアリウープを炸裂させる“ロブシティ・クリッパーズ”が誕生した。

チームは12年から6年連続でプレーオフに進出。ポストシーズンでは主力のケガに泣かされ、カンファレンス・セミファイナルの壁を突破できなかったが、グリフィンはコート上で暴れ回り、オールスターの常連となった。

その後はデトロイト・ピストンズ、ブルックリン・ネッツ、ボストン・セルティックスでプレー。今季はセルティックスから声がかかったものの契約には至らず、4月16日にNBA引退を表明した。
NBAでは13シーズンで平均19.0点、8.0リバウンド、4.0アシストを記録。通算765試合で1万4513得点、6109リバウンド、3055アシストは、キャリア初期の活躍を考えると物足りなさを感じるかもしれないが、キャリアを重ねるごとに3ポイントやプレーメーキングに磨きをかけ、ダンカーからオールラウンダーへ進化を遂げてみせた。

番組内で、チャンドラー・パーソンズ(元ヒューストン・ロケッツほか)はクリッパーズがトロント・ラプターズと並んで永久欠番を持たないただふたつのNBAチームとし、グリフィンに「君は間違いなく(クリッパーズで)最初の永久欠番になる資格を勝ち獲ったんだ」と語った。

これに元オールスターは笑みを見せつつも「どうかな?」と首を横に振り、次のように返していた。

「そうなったらもちろん光栄さ。それを断りはしないよ。でも僕のなかで、自分が本当に(欠番入りに)値するかはわからないな。それにそんな会話は今までもったことがないからね」

グリフィンが在籍していた時代、クリッパーズはプレーオフでカンファレンス・ファイナルに1度も進むことができず、「僕らは自分たちが心底望んだ業績を何も残せなかった」とも口にしていた。
大舞台で結果を残せなかったこと、そして2018年にトレードでピストンズへ放出されたことで、グリフィンとクリッパーズの関係は終わりを迎えた。

それでも、NBA入りから最初の約9シーズン(実働約8シーズン)を過ごしたクリッパーズでグリフィンは、トリプルダブル7回で球団史上1位タイ、通算1万863得点とフィールドゴール成功4161本、フリースロー成功2397本で2位、4686リバウンドと出場1万7706分で3位に入るなど、輝かしい実績を残してきた。
なお、グリフィン以外にチームの欠番入り候補には、元チームメイトのポールとジョーダン、そしてクリッパーズの前身バッファロー・ブレーブス時代に新人王、シーズンMVP、3シーズン連続で得点王に輝いたボブ・マッカドゥーがいる。

だが強烈なダンクの数々でハイライトの常連となったグリフィンは、クリッパーズを人気チーム&プレーオフの常連へと昇華させた最大の功労者だった。背番号32が永久欠番になる資格は十二分にあるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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