【観察眼】日本の観光業復興は両刃の剣

今年のゴールデンウィーク期間、日本は記録的な数の外国人観光客を迎えました。

今年のゴールデンウィーク期間、日本は記録的な数の外国人観光客を迎えました。中でも中国大陸部からの観光客数は世界の国と地域の中で第2位でした。しかし、観光客の急増がもたらすのは経済効果だけではなく、いわゆる「観光公害」、すなわち観光客の過剰がもたらす問題も浮き彫りになりました。日本政府は観光税の導入などの対策を進めていますが、これらの措置は根本的な解決にはなりません。サービス業の人手不足や円安などの問題の解決が必要です。

観光客急増による課題

日本の観光業は近年になり急速に発展し、多くの外国人観光客を引きつけています。特に中国人観光客は日本の清潔さ、良好なサービス、独特の文化体験を好みます。しかし、観光客の急増は多くの問題を引き起こしています。例えば、京都などの人気観光地では、観光客の流入が地元住民に大きな負担をかけています。例えば狭い道が観光客であふれるための交通渋滞や生活環境の悪化です。日本政府はこのような問題に対処するために観光税の導入を計画しています。すなわち観光費用を増やすことでの観光客数の抑制です。しかし、これのような対策は圧力を表面的かつ一時的に和らげるに過ぎず、「観光公害」の根本的な解決策にはなりません。問題のより深刻な根源は観光インフラと人員の不足です。

サービス人員の不足

顕著な問題の一つはサービス人員の不足です。観光客が増えるにつれ、多くの観光地やホテル、レストランの従業員は対応に追われるようになりました。筆者は最近の日本訪問でもこの点を強く感じました。成田空港では、入国審査の職員が長時間労働で疲れ切っているように見えました。百貨店では、一人の店員が多くの客を相手に忙しく立ち回り、サービスの質が影響を受けていました。日本のサービス業はその質の高さで知られていますが、観光客の急増により対応しきれなくなっています。この問題を解決するためには、サービス人員の増加と同時に、労働条件の改善が必要です。そうしてこそ、質の高いサービスを提供し続けることができます。

円安の影響

さらに、円安も日本の観光業に複雑な影響を与えています。外国人観光客にとって円安は日本での出費がより割安になるので、観光客を引きつける要因である一方で、輸入コストを増加させることで生活費の上昇を招いています。このような状況で、サービス業の賃金上昇が生活費の上昇に追いつかず、サービス人員の不足がさらに深刻化しています。

中国の対策

中国は「観光公害」への対策としていくつかの措置を講じています。例えば、故宮や国家博物館では、予約制度を導入して観光客の流れを管理し、混雑を緩和し、文化財の損傷を減らしています。雲南省の麗江古城では、地元政府が住民の生活環境を守るため、夜間営業の時間を制限しています。また、観光客に特定のルートを順守させることで、人の流れを分散させ、古い街の文化遺産を保護しています。

日本の「観光公害」問題は単なる観光客管理の問題ではなく、観光業全体の発展に関わる構造的な問題です。日本政府が観光税の導入によって観光客数を制御しようとしていますが、多くの地域住民は観光客急増による不便や影響に対して不満を抱いています。彼らは、政府が「観光立国」の目標を追求する際に、住民の生活の質とコミュニティーの持続可能な発展を軽視していると感じています。日本は観光インフラの投入を増やし、サービス人員の労働条件を改善し、円安に対応するために一層の努力が必要です。観光業のサービスの質とインフラを全面的に向上させることで、観光客急増に起因する課題により良く対応し、観光業の持続可能な発展を確保できます。同時に、政府は住民の意見にもっと耳を傾け、観光客と地元住民の利益の均衡を図るべきです。(CMG日本語部論説員)

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