「素敵だなと思って決めた」女性酪農家が作る 人にも環境にも優しいチーズ 自然と共に生きることを大切に=静岡【SDGs】

過疎の進む静岡市の山あい、オクシズにある小さな牧場「ヤギのしっぽ農園」。
自然と共に生きることを大切に、女性酪農家が人にも環境にも優しいチーズを作っています。

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農園の朝は、乳搾りから。ヤギが朝ご飯を食べている隙に、一頭一頭手絞りしていきます。

<水谷昌子さん>
「ヘルシーで脂肪が少ない。アレルギーが牛のミルクに比べて起きにくい」

山羊のしっぽ農園はヤギ17頭が放牧でのびのび暮らす農園です。北海道で13年チーズ作りに携わった水谷昌子さんは、ヤギのチーズで里山を元気にしたいと2023年に開業しました。

<水谷昌子さん>
「私、元々里山がすごく好きで水が豊かで自然も豊かなので、野草も生えてる環境で放すことによってそこの草を食べるので静岡の香りのするチーズになる」

朝、絞ったヤギのミルクはすぐに農園横にある、古民家を改装した工房へ運ばれ、チーズに加工されます。

<水谷昌子さん>
「山羊のミルクの一つの特徴として時間を置くと臭いが出やすい。これは絞ってから2時間以内に加工するので、独特の臭みは殆ど出ない」

朝、しぼった新鮮な山羊のミルクで作る絶品のチーズが「素のまんま」です。
ほどよい酸味のあるフレッシュチーズです。すべて手作業にこだわりヤギのミルクがもつ本来の美味しさが損なわれず、口の中でとろけます。

<水谷昌子さん>
「『ヤギのチーズです』って言うと、『やぎ!?』みたいな感じの方も結構いらっしゃって、そのイメージは変えていきたい」

2年前、北海道から新たな放牧の地を探していた水谷さんは、初めて訪れたオクシズを一目で気に入りました。

<水谷昌子さん>
「関東で探していて何となく閃ていて静岡だなと。ここが一番最初に来た場所なんですけど、日本昔話みたいな風景、古いおうちもたくさん残っていますし素敵だなぁと思って最終的にここに決めました」

<水谷昌子さん>
「隣の大森さんで。大変お世話になってます」

<大森義明さん>
Q.ヤギのチーズは食べましたか?
「はい、食べました。普通のチーズと比べると脂肪分がないような感じするけど、まろやかではちみつと食べるとすごい美味しい」

ヤギの放牧は里山にもいい影響を与えます。

<水谷昌子さん>
「ここは元お茶畑で耕作放棄地。茫々で、人の背の高さくらいの草が。ヤギが食べてこの状態になっている。(ヤギが暮らすことは)肥料を蒔いているようなもの。時間はかかるけど、だんだん(土地が)肥えてくる。2年後3年後、生えてる草も変わってくると思うし、開かれていくので、野生動物がすごい来てるけど、それもある程度、山に戻っていくのではという期待している」

水谷さんは今後農園を拡大して、作れるチーズを多くしていきたいと意気込みます。

<水谷昌子さん>
「カフェとか直売所とかも開きたい。山の暮らしに興味を持った若い人たちともつながっていけたらと思っています」

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