一度、自分自身で確かめてみたい実験がある。精密な時計を2台用意し、一つをテーブルの上、もう一つは床に置いてみる。すると、わずか数センチの高低差であっても、床の方の時計の方がゆっくり時を刻む
▼時間は重力の影響を受ける。床はテーブルの上よりも低く、重力の影響をより強く受けるため、時間が進むのが遅くなる。それはアインシュタインの一般相対性理論で説明できるらしい
▼宇宙に点在するブラックホールは、地球とは比べものにならないほど重力が強く、時間の進みは極めて緩やか。この近くに宇宙船が数分滞在し、元の場所に戻ってくると、そこでは既に何百万年もの時間が経過していてもおかしくないそうだ(C・ロヴェッリ「すごい物理学講義」河出文庫)
▼ブラックホールが影響を及ぼすのは時間だけではない。ブラックの名は、重力により光すら外に出ることができないのに由来している。中に一度入ると、外に後戻りすることはできない
▼人口減少問題でブラックホールと名指しされた東京には、時の流れの遅い場所がある。政治とカネの議論が進んでいるようで進んでいないのは、自民党の腰の重さゆえだろう。もう引き返せないところにいるはずだが。