中国の長距離ステルス爆撃機H20、開発は最終段階も「米B21には遠く及ばない」と軍事専門家

中国人民解放軍の長距離ステルス戦略爆撃機「H20」の開発が最終段階に差し掛かった。軍事専門家は「H20は米軍の次世代ステルス機B21を上回ることはできないだろう」との見方を示した。写真はH20。

中国人民解放軍の長距離ステルス戦略爆撃機「H(轟)20」の開発が最終段階に差し掛かった、と韓国紙が報じた。H20の実戦配備で米国の制空権に対する中国の挑戦が本格化との分析もある中、軍事専門家は「H20は米軍の次世代ステルス機B21を上回ることはできないだろう」との見方を示した。

朝鮮日報は東京、ワシントン両特派員発で読売新聞の記事などを紹介。「中国が2016年に開発計画を発表したH20はレーダーに捉えられないステルス機能を搭載し、核を積んで飛行する能力や偵察機能を備えている。現在、ステルス戦略爆撃機を運用している国は米国だけで、H20の配備が米国と韓国、オーストラリア、日本、台湾にとって直接的脅威になりかねない」と伝えた。

H20は当初、米軍の現在の主力ステルス爆撃機B2を意識して開発されていただけあって、B2を超えることに総力を挙げていた。H20はB2に似た三角形の全翼機。しかもサイズはB2より大きいとみられる。B2は全長21メートル、翼幅52.4メートルの大型爆撃機だ。

中国空軍の王偉副司令官も今年3月、香港商報のインタビューで「(H20配備の公式発表は)もうすぐだ。もう少し待てばいい」と語っていた。

米国は2022年12月にB21を公開した。B2以来、33年ぶりに次世代爆撃機を開発したのだ。26年に配備されるB21の搭載量は13.6トンでB2の半分という水準だが、ステルス性能は大幅に向上して先端技術が総結集し、「デジタル爆撃機」と呼ばれる。

地上爆撃に注力していたB2と違って、B21は空対空戦闘も可能だ。米国本土を離陸して全世界をカバーする。1機当たりの製造単価は6億9200万ドル(現在のレートで約1067億円)で、約22億ドル(約3390億円)だったB2よりはるかに安い。

B2は高価ゆえに米国はおよそ20機のみの運用にとどまったが、B21は今後100機以上を配備する計画だ。米国防総省の関係者は「(H20は)米国のステルス爆撃機の水準には近付くことすらできないだろう」とし、「われわれが配備する予定の最新型(B21)と比べればなおさら」と語った。

B21の性能がH20よりはるかに優れているとしても、H20の実戦配備が米国のアジア軍事戦略を揺るがしかねないという懸念はある。米国・日本の防空レーダーに捕捉できないH20が第1列島線上空を飛び回るという事実だけでも脅威だ。

中国が台湾周辺海域を封鎖するという仮想の侵略シナリオで、H20の存在が米軍の艦隊投入判断を難しくすることもあり得る。およそ1万キロと推定されるH20の航続距離(追加給油なしで飛行できる最大の距離)は、米領グアムまで狙える。グアムには有事の際にB21の拠点となるアンダーセン空軍基地がある。(編集/日向)

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