スカウトが絶賛した清原正吾の“急成長” 目標のプロ入りへ…突き進む勝負の1年

明大戦に出場した慶大・清原正吾【写真:加治屋友輝】

慶大・清原正吾「短く持つことで、コンタクト率が上がる」

慶大・清原正吾内野手(4年)は18日現在、東京六大学野球春季リーグ戦全10試合に「4番・一塁」で出場し、チームトップ(リーグ13位)の打率.293(41打数12安打)をマークしている。清原和博氏を父に持つ逸材が胸に秘める「プロ入り」実現の可能性と、克服すべき課題とは――。

18日に行われた明大との1回戦に出場した清原は、チームが4安打に抑えられ0-5の零封負けを喫した中でも、4打数2安打と気を吐いた。2回先頭の第1打席では、142キロの内角直球に詰まらされるも、俊足を飛ばして三塁内野安打をゲット。9回先頭の第4打席では、明大4番手の右腕・松本直投手(2年)が投じた真ん中高めのストレートをとらえ、左中間フェンス直撃の二塁打にした。

打った瞬間、リーグ戦初本塁打かと思わせる当たりだったが、清原本人は「悪い当たりではなかったと思いますが、少し詰まっていました」と振り返った。

今季からバットを、グリップエンドから指2本分ほど短く持っている。稀代のホームランバッターだった父・和博氏も、グリップエンドいっぱいには握らない打者だった。「短く持つことで、コンタクト率が上がる。その中でハードに打つことを意識しています」。ただし、練習では長く持っているそうで「試合で短く持つと、心の余裕が変わってくる。練習と試合のギャップで、メンタル面が楽になるかなと思っています」と語り、クレバーな印象を与える。

一方、存在感を増しつつある清原に対し、第1、第2打席で明大の捕手は全球内角に構え、インコース攻めを敢行していた。4回1死走者なしでの第2打席は、最後の149キロ直球に手が出ず、3球三振に倒れた。

6回1死走者なしで迎えた第3打席は一転した。初球、外角低めのボール球を見送った後、2球目の外角高めの145キロを打たされ右飛。清原は「(内角中心の攻めは)感じました。そこで捉え切れなかったのは僕の実力不足。修正して明日の第1打席から挑戦していきたいです」と気持ちを切り替えた。

広島・苑田聡彦スカウト統括部長「いいスイングになっている」

清原が「この1年を1日1日後悔なく過ごすことに集中し、その結果、そういうレベルに達しているならば目指したい」と語るのが、父が活躍したプロの世界だ。

広島の苑田聡彦スカウト統括部長は「昨年までは“ドアスイング”で、とてもではないが打てない感じだった。今季はだいぶ修正され、いいスイングになっている」と評価した上で、「それでも、まだまだ“アウトサイドイン”のスイング。ホームベースから離れて立っていますが、今のままでは、プロの内角球に対応するのは難しいでしょう。内側からバットが出るようになれば、今日のフェンス直撃の二塁打も、フェンスを越えるはずです」と指摘する。

父の和博氏も「内角が弱点」と言われていたが、苑田スカウト統括部長は「お父さんはそれなりに対応していたし、何より(3冠王3度の)落合博満氏同様、トップを早めにつくるのがうまくて、余裕を持って相手投手の投球を待つことができるところが特徴の打者でした」と回想する。

それにしても、清原の成長の速さには目を見張らされる。2年生の秋にリーグ戦を果たすも、なかなか結果が出ず、昨秋はリーグ戦出場なし。ベンチに入れない日々が続いた。ところが最終学年を前に、オープン戦などで快音を響かせるようになった。今季に入ってからも、当初はコンパクトな打撃に終始していたが、ここにきて今月4日の立大1回戦でも左翼フェンス直撃の決勝二塁打を放つなど、飛距離が伸びている。

春季リーグの残り試合に加え、秋季リーグも残されている。どこまで“プロレベル”に近づけるのか楽しみだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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