代打の切り札、十二回サヨナラ 乱打戦、成蹊に軍配

12回裏の逆転サヨナラでベンチから駆け寄る福島成蹊の選手たち=あいづ球場

 ◇春季東北地区高校野球福島県大会・第1日(18日・白河グリーンスタジアムほか7試合)

 福島成蹊 16―15 いわき光洋

 勝負どころの場面を意識して練習を重ねてきた代打の"切り札"が長引くシーソーゲームに終止符を打った。延長タイブレークの十二回、代打でサヨナラとなる適時打を放った福島成蹊の高橋新汰(3年)は「準備はしていた。チームの期待に応えられた」と晴れやかな表情。ランナーがかえると、ベンチから選手が飛び出し喜び合った。

 仲間の思いを背負って打席に立った。「投手が抑えてくれた。自分のスイングで応えよう」。狙い球だった高めの直球をはね返し、決勝の走者がホームを踏んだことを確認すると一塁上で雄叫びを上げた。

 代打で起用されることが多い高橋。昨秋から、つなぐ打撃を意識して芯で捉える練習に重点を置き、「重要な場面を1球で決められる打者」を目指してきた。「冷静さが身に付いた」と話すように、重圧のかかる場面での大仕事につながった。試合前のノック中にはベルトが切れるハプニングがあったが、ボールボーイからベルトを借りて対応できたことも、物事に動じなくなった証拠だ。

 次戦は、福島商との県北対決。「今日のように自分の役目を果たしていきたい」と胸を張った。(桜井駿太)

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