蚊よりも厄介、刺されると赤くなり長時間激しいかゆみ「ヌカカ」・別名「スケベ虫」大量発生 ドローンで石灰散布すると…「幼虫が半減」効果

蚊よりも厄介だという虫がいます。その虫とは、鳥取県米子市などで初夏から夏にかけて大量発生する吸血昆虫「ヌカカ」。干拓地を中心に発生するため地元では「干拓虫」、あるいはこっそり服の下に入り込むことから「スケベ虫」とも呼ばれます。
その駆除に向けて、ドローンによる石灰散布が始まっています。効果はあるのでしょうか。

先月、米子市彦名地区で、ドローンが出動しました。

ドローンが散布しているのは「石灰」。ヌカカの駆除が目的です。

子どもたち
「かゆくなる」
「かゆくなったり、かさぶたできたりする」

子どもたちの肌が虫刺されで赤くなっています。この犯人こそ「ヌカカ」。

ヌカカは体長1ミリから2ミリでほどで、飛んでいる姿はほとんど見えない上、網戸もすり抜けてしまいます。

5月から6月にかけて大量に発生し、刺されると長時間激しいかゆみを伴います。

干拓地で発生するため、「干拓虫」と呼ばれたり、こっそり服の下に入り込むことから「スケベ虫」とも呼ばれたりする厄介者です。

自治会長
「噛まれると、皮膚が弱いものですから小さいお子さんは、どうしても腫れが大きいんですよね、大人と違って。そういうところでは非常に困っています」

飛ぶ姿が見えず網戸もすり抜け、対策の施しようがなかったヌカカですが、研究の結果、駆除の秘訣は土壌に生息する幼虫だと分かりました。

「石灰」を地面に散布すると土がアルカリ性になり、幼虫が生息しにくくなることが分かったことから、去年から米子市はドローンでの石灰散布を始めました。

自治会長 信田慶二さん
「うちの9区の1では去年まで手で撒いてたんですけれども、半日かかっていましたので、やっぱりドローンは効率がすごくいいと思います」

ドローンでの石灰散布により、どれほどの効果が出ているのでしょうか?実証実験の頃から、石灰を撒き続けている場所を訪ね、話を聞きました。

自治会長 西尾陸夫さん
「(石灰散布から)4年目になったら土中に幼虫がいなくなりました。だからもうここは実験地としては役に立たない。いないからということで今年からは一つ向こう側に検証地を移して、幼虫の数とか、飛んでる成虫の数とかを調査されるみたいですね」

実験段階から石灰をまいた西尾さんの地区では、4年間でヌカカの幼虫がゼロになったそうです。

米子市によりますと、去年散布をスタートした地区でも半減しているということで、今年は去年の7倍に範囲を広げ、石灰散布を続けています。

米子市環境政策課 宮脇孝志 課長補佐
「引き続きですね、このドローンの有用性というのを伝えていって、面積が広がっていくように進めていきたいと思っております」

長らく住民の夏の悩みとなってきたヌカカですが、その生態研究とドローンが解決の糸口となりつつあります。

一方で、荒廃農地が幼虫の生息地になっているということで、米子市は荒廃農地を増やさない対策も同時に進める方針です。

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