桜島と鹿児島湾の絶景が薬味、乗客に愛され年間21万食…鴨池・垂水フェリーの南海うどん

かきあげと温泉卵がのった月見かきあげうどん。窓際のカウンター席では景色を楽しみながら食べられる=鴨池・垂水フェリー船内

 大隅半島は西に鹿児島湾、東に太平洋を望み、県内外に向けて大小のフェリーが行き来している。大隅半島と薩摩半島を結び、地元にとって欠かせない生活航路となっているのが鴨池・垂水フェリー。その片道40分の旅のお供として、乗客に愛されているのが船内限定のうどんだ。

 同航路は現在3隻体制で、朝夕は通学・通勤客らでにぎわう。うち2隻は1月と昨年10月に就航したピンク色が主体の新船で、鹿児島国体では天皇、皇后両陛下らの「お召し船」にもなった。

 3隻の船内で営業を続けるのが、1975年に開業した「南海うどん」。地元客らに長く愛され、年間約21万食を売り上げる。大型連休など繁忙期のお昼時には片道で80食、30秒に1食のペースで提供することもあるという。

 「うどん」と大きく書かれたのれんが目印。店内に入ると、枕崎産かつお節や北海道産昆布を使っていわさきホテルズの総料理長が考案したという、つゆの香りが広がる。

 新船では、店内の椅子やテーブルの配置にゆとりを持たせた。注文は食券制となった。窓際に並ぶカウンター席からは桜島を一望できる。

 好きなトッピングの具を選べ、人気が高いのは温泉卵、牛肉、かきあげ。運営する白露酒造うどん事業部の責任者上野勉さん(55)は「お薦めは月見かきあげ。部活帰りの高校生など若い人には肉うどんの人気が高い。お手軽な価格になっているので40分の船旅のお供に、ゆったりと味わって」と話した。

 【メモ】旅客定員500人で、車両は約50台を積載できる。料金は大人(中学生以上)片道500円、小学生以下250円。車両は大きさごとに片道1400円から。

船の中で調理される「南海うどん」=16日、鴨池・垂水フェリー船内

© 株式会社南日本新聞社